D2Cブランドがスムーズに資金調達を行うポイント
D2Cブランドは「世界観を構築しファンを獲得する」というビジネスモデルが軸となるため、創業初期は資金繰りに苦労するケースも珍しくありません。数ヵ年計画で利益の回収を目指すことも多いですが、その際に欠かせないのが資金調達です。
今回は、D2Cブランドにおける資金調達について、事例や方法、ポイントなどを解説します。
D2Cブランドで資金調達が不可欠な理由
D2Cのビジネスモデルは、ブランドの世界感への共感を広め、ファンを獲得し商品を購入してもらうことが基本です。いわゆるファンマーケティングに近いものですが、世界観を構築し認知度を高めてファンを獲得するには、ある程度の時間が必要となります。
そのため、創業当初は赤字が続き数か年計画で利益を回収するケースも少なくありません。一方で、事業の運営資金はもちろん、新たな施策を打つための資金は欠かせません。事業者が自分で用意するには限界があり、資金調達を行うことが不可欠となってきます。
資金調達をする3つの方法
D2Cで資金調達をする方法は大きく3つ挙げられます。
- クラウドファンディング
- 日本政策金融公庫からの融資
- 投資家からの調達
1)クラウドファンディングの強みは、事業をスタートしていない状態でも資金調達を募れることです。しっかりとして事業計画と共感を呼ぶプラン、将来性といった点が担保されれば個人でも調達に乗り出せます。また、クラウドファンディングはブランドへの「ファン」を募るという意味でも効果的で、D2Cのビジネスモデルとは相性が良い方法です。認知度の低いブランドであれば認知度をアップさせる効果も期待できるでしょう。
2)日本政策金融公庫では、条件を満たして新規事業者や既存の事業者に対して融資を実施しています。公的機関からの融資となるため、比較的融資がおりやすく、創業融資に関しては無担保・無保証となっています。金融公庫での融資実績を得て民間の銀行などに融資を依頼するといった実績を積み上げる効果も期待できるでしょう。
最後が3)投資家からの調達です。日本でもシードラウンド投資家やエンジェル投資家の存在が注目を集めていますが、こうした投資家はブランドへの共感や将来性に注目してくれます。まだ利益が出ていない段階でも、将来への成長が見込める材料を用意し、信頼を勝ち取れば投資を募ることができるでしょう。
D2Cブランドの資金調達事例
では、具体的にD2Cブランドが資金調達に乗り出した事例をいくつかご紹介しましょう。
D2Cコスメブランドの「PHOEBE BEAUTY UP」では、2019年に、新規自社ブランドの販売に向けて累計1.3億円の資金調達実施。同社のブランド第一弾となる「まつ毛美容液」はSNSを中心に大きな注目を集めましたが、資金調達ではこの実績を元にポーラやセレスといった大手企業からの支援を獲得しました。PHOEBE BEAUTY UPは2020年5月にも資金調達を実施したと発表しましたが、金額は前回を大きく上回る3億円。資金調達で新規ブランドやプロモーションを強化し、成長した段階で新たな投資を募るというスタートアップらしい運営方法です。
立ち上げ時の資金調達の事例として完全栄養食「BASEFOOD」も良い事例でしょう。BASEFOODは創業時にクラウドファンディングを実施し、100万円規模の資金調達に成功しました。商品の品質も評価され、認知度が高まると新たな資金調達を実施。日本では少ないフードテック企業という強みが評価され、2019年には4億円の資金調達に成功しています。BASEFOODの事例は、これからスタートアップでD2Cに取り組む事業者には良いお手本で、商品やサービスが二ッチかつ高品質であれば、最初は小規模でも資金調達ができることを証明してくれています。
D2Cで資金調達を行うポイント
最後に、D2Cで資金調達を行う際のポイントをまとめておきましょう。
1.ブランドへの共感やファンの獲得を目指す
D2Cでは世界観への共感を通してファンを獲得することが重要ですが、資金調達においてもこのポイントは重要です。クラウドファンディングの部分でも触れたように、資金調達の段階でブランドへの共感を得ることができれば、長く関係性を築くことができます。
また、起業する前の段階からSNSでアプローチをしておくことも効果的です。現在成功を収めているD2Cブランドの中には、当初はSNSやオウンドメディアを中心に情報発信をしてファンを獲得してからD2Cに移行したケースも多く見られます。事例で紹介したPHOEBE BEAUTY UPも自社メディアをステップにビジネス展開しており、しっかり土台を築いてから起業するのも方法の1つです。
2.実績を築いて投資を募る
資金調達ではブランドの実績や信頼も評価の材料となります。そこで、まずは小規模からスタートして実績を築いてから資金提供を募る方法も有効でしょう。D2Cは一気に右肩上がりの成長を目指すよりも、Jカーブのように時間を置いて成長するケースが少なくありません。初期はあくまでも地固めと実績づくりに注力し、タイミングを見て大型の資金調達に乗り出すのもアイデアの1つでしょう。
3.初期段階から投資家にアプローチする
投資家への資金提供を募るなら、初期段階からアプローチしておきましょう。これは信頼を築くという意味合いがあります。いきなり知らない企業への資金提供をお願いしても、よほど事業に将来性がなければ投資してくれません。逆に、ある程度の期間を通して関係性を築きつつ、ブランドの世界観を説明することで共感を得ることもできます。この点はクラウドファンディングのファン作りと似通っており、投資家にも自社ブランドのファンになって資金を提供してもらえるのが理想でしょう。
まとめ
今回は、D2Cブランドが資金調達をする際のポイントや方法についてご紹介しました。
D2Cの創業当初は、ブランドへの世界観や共感を得る時間が必要となるため、ある程度まとまった資金が必要です。資金調達を進める際も、D2Cモデルの特徴に注目し、ビジョンやコンセプトに共感してくれる「ファン作り」の視点を持つことがスムーズな資金調達への鍵となります。
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