D2Cブランドの最新ニュース・トレンドは?
新しいブランドが続々と登場しているD2Cですが、最旬のトレンドも日々変化を続けています。
今回はD2Cブランドのトレンドについて、最新ニュースを交えながらご紹介。今後のD2C業界の動きを考察していきましょう。
2020年のD2Cの市場規模は2兆円超え
売れるネット広告社が行ったD2Cの市場調査によると、2020年のデジタルD2C市場規模は約2兆2,200億円と、前年比109%の数字となりました。2021年以降もこの数字は右肩上がりで推移すると予想され、2025年には3兆円に達すると見られています。
2021年1月にはD2Cブランドのアニュアンス(ANUANS)が初日売り上げで9,200万円に達したと発表。大きな話題となりました。
D2C業界への注目度が高まるにつれ、市場規模も拡大傾向にあることが伺えますが、一方で最新のニュースやトレンドを見ていると、D2Cにも変化の兆しが見えてきました。
では、具体的にどのような動きが見られるのか、3つのトレンドから見ていきましょう。
トレンド1.オムニチャネル化が進んでいる
1つ目は、オムニチャネル化が進んでいるということ。
D2Cといえば、ECを軸とした販売が大きな特徴でしたが、ここにきて実店舗を展開しオムニチャネル化を図る動きが増えてきました。
「幻のチーズケーキ」として大人気のD2CブランドMr.CHEESECAKEは、2020年12月にコンビニ大手のセブンイレブンとのコラボ商品を販売。市場で大きな反響を呼び、21年2月には再販が決定しました。
また、大手百貨店・丸井は「モノを売らない店」というコンセプトを数年前から掲げ、ショールーム機能に力を入れています。D2Cがこうした百貨店に出店する動きも、最近のトレンドです。
背景にあるのは、ブランドの認知度アップと新規顧客の獲得にあります。D2CはSNSを中心としたデジタルプラットフォームで集客を図りますが、一方でこうしたツールに縁のないユーザー層にはリーチしにくいという課題があります。そこで、ポップアップ店舗のように実店舗を展開し、ブランドやサービスへの認知度を拡大。また、実際に商品を手に取ってみたいというユーザーへの満足度を高めることも狙いといえます。
トレンド2.パーソナライズ化の加速
2つ目は、パーソナライズ化の加速です。
多様な価値観やライフスタイルが求められる中で、D2Cブランドのパーソナライズ化がさらに加速しています。ユーザーに最適化した商品の販売や接客を提供できるよう、サービス内容を細分化。同じブランドを利用していても、1人ひとりが違った購入体験を実現でき、満足度を高めることで他社との差別化を図っています。
取り扱う商品そのものもをニッチにする動きも顕著です。例えば、155cm以下の小柄女性向けのファッションブランド「COHINA(コヒナ)」などは、ニッチでありがながら確実に需要を見込めるターゲット層に目を付けた点が成功のポイントでした。
今後こうしたニッチな層にあえてターゲットを絞り込み、他社と競合しないフィールドを開拓していけるのかも、D2C企業には問われてきます。
トレンド3.大手企業がD2Cに参戦
3つ目は、大手企業のD2C事業参戦の動きです。
自社がプレイヤーとしてブランドを起ち上げるケースも多いですが、注目したいのがD2Cへの参入やスタートアップを支援する側に回るケースが増えているということ。
例えば、ファッション通販大手のZOZOは、個人とファッションブランドを立ち上げるD2Cプロジェクト「YOUR BRAND PROJECT Powered by ZOZO」を2020年6月にスタートしました。D2Cを起ち上げたい個人を募集し、ZOZOは資金や商品企画、生産、販売、物流、カスタマーサポートといった自社ノウハウを提供。双方がWin-Winの関係を築き、ビジネスとして発展させていくことが狙いです。
D2Cで課題となるのが、資金調達やスタート時の利益確保です。ユーザーのファン化から購入を目指すD2Cのモデルは、収益化まで時間がかかる一方、知名度の低さから資金到達に苦戦するケースが見られます。一方の大手企業は、ブランドを起ち上げるノウハウはあるものの、知名度が大きすぎるが故に新たな世界観を構築するのが難しく、親会社のイメージに引っ張られる点がネックです。
この両者の課題を解決しつつ、D2Cビジネスを拡大するには大手企業がサポート側に回るという動きは理にかなっています。今後もこうしたD2Cを支援する企業は増加すると見られており、業界トレンドの1つといえるでしょう。
まとめ
今回は、D2Cブランドのトレンドについて、最新のニュースなどを元に考察しました。
業界の動きを追い掛けてみると、日本でのD2Cビジネスは次の段階へ進み始めた印象です。これまではD2Cのビジネスモデルそのものの鮮度が話題となっていましたが、これからはより本質的な「事業の中身」が問われる段階にシフトしています。D2Cだから売れるのではなく、ユーザーのニーズを満たすことが何より重要であるというビジネスの原点が、いま一度問われることになりそうです。