EC運営でも鍵になっている「サステナブル」という考え方
「サステナブル(持続可能な)」という言葉は、いま世界でもっとも注目されているワードの1つです。企業でもこの考え方を取り入れた経営活動が進んでおり、EC運営においても重要度が急速に高まっています。
そこで今回は、これからのEC運営の鍵を握るサステナブルという言葉について解説します。
サステナブルとは?
サステナブルとは、日本語で「持続可能な」という意味を持った言葉です。
「サステナブルな社会(持続可能な社会)」「サステナブルな暮らし(持続可能な暮らし)」といった使い方をされ、近年世界的に注目を集めているワードの1つといえます。
なぜサステナブルが注目されているのか?
サステナブルという言葉が注目を集める背景には、2015年に国連サミットで採択されたSDGsの存在があります。SDGsとは、Sustainable Development Goalsの略で、「持続可能な開発目標」のことをいいます。
具体的には環境や資源、飢餓や人権、テロといった世界規模の課題を17の開発目標として定め、個人や団体・企業が未来へ渡って継続できる「持続可能な」世界を作るための指針を定めています。
このSDGsの採択以降、世界的に持続可能な社会を作るための動きが活発化。サステナブル(Sustainable)というワードも急速に認知度を高め、国内外を問わず多くの人々の合言葉として定着しています。
日本でも楽天やユニクロといった大手企業がサステナブル経営を打ち出すなど、事業者にとってもしっかりとフォローしておきたいワードです。
サステナブルがECで重要視される3つの理由
サステナブル経営は今後、EC運営でも非常に重要度が高まるとみられています。その理由を、3つの視点から見ていきましょう。
1.ECサイトの差別化が求められている
1つ目は、ECサイトの差別化が求められているため。
年々EC業界の競争は過熱しており、サイトでは独自の強みを打ち出し差別化を図ることが求められています。この差別化を図る上で、サステナブル経営を採用するのは効果的な方法です。
今後各企業が続々とサステナブル経営を採用する流れが予想されますが、先手を打って持続可能な経営を打ち出すことができれば、先駆者としてブランド価値を高めることができるでしょう。
2.社会のニーズが高まっている
2つ目は、社会的なニーズが高まっていること。
サステナブルやSDGsといった考え方は、いまやグローバルスタンダードとして定着しています。とくにミレニアル世代やZ世代の関心は高く、企業の動向にも敏感に反応します。
ミレニアル世代やZ世代は、いわゆるデジタルネイティブでECでは重要なターゲット層といえます。今後の消費活動を牽引する世代のニーズに応えることは、将来的な企業の発展を考えれば、自然な流れといえます。
3.ECの事業形態
3つ目は、ECの事業形態です。
EC事業を運営するには、商品の包装と物流が不可欠です。サステナブルな視点から見ると、過剰包装や大量の天然資源の消費、物流を利用することによる環境への影響など、配慮しなければならない項目は多岐に渡ります。
ECはいまや社会インフラの1つに数えられるほど、生活に欠かせない存在へと成長しました。これからは、こうした影響力の大きさを鑑みて、サステナブルな活動への積極的な貢献が求められるでしょう。
サステナブル経営の事例
最後に、EC事業者が実際に取り組んでいるサステナブル経営の事例をいくつか見てみましょう。
1.ユニクロ
近年EC事業にも積極的なユニクロでは、「服のチカラを、社会のチカラに」というスローガンを掲げ、サステナブルな活動に積極的に取り組んでいます。
具体的には、プラネット(Planet)、ピープル(People)、コミュニティ(Community)の3つを柱とし、再生ポリエステルを使用したフリースの販売や、自然環境や生産者へ配慮した素材の調達などを通してサステナブル経営に取り組んでいます。
ユニクロではサステナブル経営に関するコンテンツページを制作し、取り組みを丁寧に配信。ユーザーからの認知度も高く、企業のブランド価値向上にも成功しています。
2.Davines(ダヴィネス)
世界90ヵ国に展開するイタリアのヘアケアブランド「Davines(ダヴィネス)」は、サステナブル経営の一環として環境に配慮した活動に取り組んでいます。
具体的には、全商品のパッケージをカーボンニュートラル包装に変更。カーボンニュートラル包装とは、商品製造に伴うCO2排出量を、CO2排出量削減に取り組む組織への寄付金で相殺する仕組みで、同社でもエチオピアの森林再生の取り組む非営利団体への寄付を行っています。
また、EC配送時に排出されるCo2をオフセット(CO2の排出を減らす代わりに、別の場所で行われているCO2を減らす活動に貢献すること)するため、配送料を増額できるツールを導入。ユーザーは任意でこの配送料を増額することができ、ユーザー自らサステナブルな活動に参加できる仕組みを構築しました。
まとめ
今回は、近年世界的に注目されている「サステナブル」とECの関係性について解説しました。
持続可能な暮らしや社会を築くための取り組みを意味するサステナブルは、いまや世界標準の考え方としてEC事業にも広がりを見せています。今後は、こうした取り組みに積極的な企業をユーザーが選ぶ流れが予想され、事業者もいち早く具体的なアクションを起こすことが求められるでしょう。