大企業がD2C事業を始める前に押さえておきたいポイント - リピスト | EC/D2Cサイト構築システム

大企業がD2C事業を始める前に押さえておきたいポイント

大企業がD2C事業を始める前に押さえておきたいポイント

ECの定番モデルとしてすっかり定着したD2C。これまではスタートアップや小規模の企業が参入する動きが中心でしたが、ここに来て大企業がD2Cに乗り出す動きが増えています。

しかし一方で、「D2Cは大企業には難しい」という声も聞かれます。これはどういうことでしょうか?

そこで今回は大企業がD2C事業を始める前に押さえておきたいポイントを解説します。新規事業としてD2C参入を考える方はぜひ参考にしてください。

D2Cは大企業よりスタートアップ向けのビジネスモデル

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まずはじめに押さえておきたいのが、D2Cは大企業よりスタートアップ向けの形態であるということ。大企業がD2C事業に乗り出すには、まずこの部分から理解しておく必要があります。

事業規模の大きさがかえってD2Cらしさを奪う

D2Cは自社で企画から製造、販売にいたるまですべての業務を担う形態です。ユーザーと事業者が直接繋がるという点が大きな特徴で、ダイレクト・トゥ・コンシューマー(D2C:Direct to Consumer)という呼び方からも、その特徴が見て取れます。

実はこのビジネスモデルは、大企業と相性が良くありません。事業規模が大きいということは、販売や流通において業務を外部に委託するケースが多く、これではD2Cモデルではなくただのオリジナルブランドになってしまいます。

また、D2Cではデジタル技術をフルに活用することで、スピーディーに事業を展開していることが強みです。スタートアップであれば規模が小さいため意思決定が早く、施策の自由度も高いです。一方、大企業では意思決定や施策の反映の部分でどうしてもスピード感や自由度が低く、D2Cのメリットをフルに活かしきれないおそれがあります。

大企業がすでに築いてきたブランドイメージが、新たに立ち上げるD2Cの世界観に影響を与えてしまう点も、懸念材料の1つです。

D2Cは大企業へのカウンターアタック

そもそもD2Cモデルは、事業規模が小さいスタートアップ企業が、大企業へ対抗するための「カウンターアタック」として考案された背景があります。

EC業界では、ビッグデータを持つ大企業や大手ECモールを運営するプラットフォーマーが長く王者に君臨しています。中小企業がこの牙城を崩すことは難しく、事業を拡大するにはどうしても大企業のサービスを利用する必要がありました。

しかしD2Cでは、商品やサービスを販売するまでのすべての過程を自社が担うことで、大企業に頼ることなく事業を拡大することができます。とくに顧客データは自社で独占して利用することができ、これ以上ない貴重な資産を蓄積することができます。また、仲介業者や大手サービスを利用しないことで余計なコストを削り、利益率を高めることができる点もD2Cの強みです。

このように、ビジネスモデルそのものが「対大企業」向けに設計されている点も、D2Cが大企業よりスタートアップ向けと言われる理由でもあります。

大企業がD2Cに取り組むメリットは?

さて、ここまでD2Cは大企業よりもスタートアップ向けとご紹介してきました。一方で大企業だからこそ得られるメリットもあります。

1.資金調達や初期投資で優位に立てる

D2Cモデルに取り組むスタートアップが苦労するのが、資金調達です。まだ実績のない企業に投資するにはよほどしっかりとした事業計画が必要となるため、まとまった資金を得ることができないケースも少なくありません。

その点大企業は、自社である程度まとまった資金を用意することができ、初期投資の部分でスタートアップより優位に立つことができます。

また、D2Cはいわゆるファンマーケティングが軸になるため、過度な広告宣伝ではなく地道にファンを獲得していく必要があります。顧客獲得まで時間がかかるため、当初はなかなか利益に結びつかず資金繰りに苦労しますが、大企業なら初期投資としてある程度長いスパンで事業の推移を見守ることができます。

2.顧客データの蓄積がある

顧客データの蓄積があるのも、大企業の強みです。

スタートアップではゼロからデータを蓄積する必要がありますが、大企業ならこれまでさまざまな分野で集めてきたデータの蓄積があります。このデータを元に事業初期の施策や戦略を考案できる点は、スタートアップにはない強みです。

もちろん、D2Cの本質を考えれば事業スタート後に得られる鮮度の高いデータが不可欠ですが、事前にある程度顧客の行動を予測できる点は大きなメリットでしょう。

3.デジタル技術やマーケティングのノウハウがある

大企業では独自で顧客データの収集やAIサービスといった、各種デジタルツールを構築しているケースが少なくありません。データ活用がビジネスモデルに不可欠なD2Cにおいては、大きなメリットとなります。また、予算規模が大きいため新しいサービスの開発に乗り出しやすい点も強みでしょう。

それ以外にも、これまで蓄積してきたマーケティングに関するノウハウは必ず事業運営に役立てることができます。

まとめ

大企業とスタートアップを比較すると、スタートアップの方がD2Cモデルと相性が良いことは事実です。しかしながら、D2Cモデルの本質をきちんと理解した上で、スピード感を持った運営体制が構築できるなら、大企業の予算規模やノウハウは絶大な力を発揮します。国内でのD2Cビジネスはまだまだ黎明期だけに、大企業が勝負できる余地は十分残されているでしょう。