ECサイトを通じたSDGsへの取り組み事例
2015年に国連で採択されてから、世界共通の目標として広く知られるようになったSDGs(エスディージーズ)。ECサイトでも近年SDGsの視点に立った経営や取り組みが注目されており、すでに多くに企業が活動を開始しています。
そこで今回は、SDGsへの取り組みを行っているECサイトの事例についてご紹介します。EC事業者がなぜSDGsへと取り組む必要があるのか?についても解説しています。
SDGsとは世界共通の課題を解決するために設けられた「持続可能な開発目標」のこと
SDGs(エスディージーズ)とは、日本語で「持続可能な開発目標」のことを意味します。
世界には、環境問題や飢餓、労働やジェンダーなど解決すべき数多くの課題が存在します。こうした課題を先送りにせず、個人や企業が課題解決への具体的なアクションを起こすための目標として、2015年国連で採択されたのがSDGsです。
SDGsには17のグローバル目標と、具体的な解決へと繋げるための169のターゲット(達成基準)と232の指標が行動指針として定められています。
個人や企業がSDGsの目標や指針をもとに活動に取り組むことで、地球環境や社会平和が未来へと続く=「持続可能な社会」を築くことが目標です。
なぜECサイトでSDGsへの取り組みが注目されるのか?
SDGsへの取り組みは、近年ECサイトでも活発化しています。
ECというビジネスモデルには、梱包と配送という工程が不可欠です。これをSDGsの視点から見てみるとどうでしょうか?
例えば、梱包には段ボールや紙袋が使われ、天然資源を過剰に消費してしまう恐れがあります。また、配送にトラックを利用すれば、排気ガスが排出され自然環境に影響を及ぼすことが考えられます。その他にも、過度な価格競争の弊害により、不当に低い賃金や過酷な労働環境が問題視されることもあります。
このように、ECビジネスはSDGsの視点から見ても、解決すべき課題を多く抱えていることが分かります。
こうした状況に問題意識を持つEC事業者は率先してSDGsの取り組みを採用しており、消費者の購買行動においても「SDGsへの取り組みをしているかどうか」が購買を決断する条件にも挙げられています。
ECがSDGsに取り組むことはブランドイメージの向上に繋がる
「SDGsへの取り組みをしているかどうか」が購買を決断する条件になるということは、SDGsへの取り組みはEC事業者にとって自社のブランドイメージを高める効果が期待できます。
ECサイトの競争が過熱する中、他社といかに差別化を図るかは、事業者にとって大きな悩みです。しかし、SDGsへの取り組みに積極的に取り組めば、そこに付加価値が生まれ他社との差別化に繋げることができます。
D2Cブランドにように、取り組みそのもののを自社のコンセプトや世界観と据えることができれば、新たなビジネスチャンスを開拓することができるでしょう。
SDGsに取り組むECサイトの事例3選
ここからは、ECサイトの中からSDGsに取り組む事例を3つご紹介します。
1.KURADASHI(クラダシ)
まずご紹介するのが、KURADASHI(クラダシ)です。
クラダシはフードロス削減へ賛同したメーカーより協賛価格で商品を仕入れることで、低価格で商品を販売するECサイトです。
日本の食糧廃棄量は年間で600万トン以上。これは日本国民全員が、毎日茶碗一杯分のごはんを捨てている計算と同じになります。とくに事業者が食品を販売する場合、製造日や賞味期限までの期間などが厳格に定められているため、どうしてもフードロスが発生しやすい状態が発生していました。
クラダシは、こうした事業者から安く商品を仕入れ販売することで、SDGsへ貢献。売上を環境保護や動物保護の団体へ寄付するなど、積極的な社会貢献活動を行っています。
2.セガトイズ
続いてご紹介するのが、セガトイズです。
セガトイズは、玩具メーカーのSEGAが運営するECサイトですが、同サイトが2020年10月にSDGsの一環としてスタートしたのが「セガトイズエコプロジェクト」。
このプロジェクトでは、自宅で使わなくなったおもちゃをセガトイズが下取り。回収されたおもちゃが、セガトイズが地球環境に配慮したリサイクルを行い、SDGsに貢献するという取り組みです。
SDGsには子どもたちの未来を守るという想いが込めらていますが、玩具メーカーという子どもと近い距離に立つ企業がこうした活動に取り組むことは、大きな意味があるといえるでしょう。
3.10YC
持続可能な社会を、ブランドのビジョンに直接反映しているのが10YCです。
10YCは「10年着続けたいと思える服」をテーマに展開するアパレルD2Cブランドです。アパレル業界は、大量生産大量廃棄・低賃金・工場の人材・後継者不足といったさまざまな課題を抱えています。
10YCはこうした課題を解決し、「着る人も作る人も豊かに」という理念を掲げ、ブランドを展開しています。丈夫で長持ちする商品の開発や、たしかな技術を持った職人に正当な報酬を支払う仕組みの構築、さらにこうした仕組みでブランドを運営できるビジネススキームを築きあげることで、アパレル業界へ貢献しています。
まとめ
今回は、ECサイトを通じたSDGsへの取り組みについて事例を交えてご紹介しました。
SDGsは日本語で「持続可能な開発目標」と呼ばれ、世界が抱える環境や貧困、教育やジェンダーなどの共通した課題を解決するための、具体的な目標が設定されています。
ECサイトでもこうした取り組みに積極的に乗り出す企業は多く、取り組み自体がブランドにとっての強みや特徴となっています。今後はこうした取り組みの行う企業をあえて選んで購入するといったユーザーが増えていくと予想され、企業としても具体的なアクションを検討する価値はあるでしょう。
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