D2Cブランドが知るべき OEM委託先の選び方や製造工程を解説 - リピスト | EC/D2Cサイト構築システム

D2Cブランドが知るべき OEM委託先の選び方や製造工程を解説

スタートアップ企業や少資本の企業がD2Cブランドを展開するためには、商品の開発のためのノウハウや製造環境が必須です。

イメージ通りの商品を製作し販売するにはECサイトの運営やSNSの運用ノウハウだけではなく、製造費用販売価格のバランスを考慮しながら商品に使う素材や成分を選ぶスキルが必要です。

しかし、自社で上記のノウハウを学び製造するには多額の費用と時間を要します。そんな時、各業界の商品を製造することに特化したOEM業者に製造を委託すると、自社で取得するには難しいスキルや費用、環境を得る工数を削減しながら商品を開発できます。

本記事ではOEMの基礎知識や概要にくわえて、OEMを導入時の工程などの基本知識を解説します。

OEMの概要と基本知識

OEMは「Original Equipment Manufacturer」の略で、自社で商品を製作せずに商品の商品の設計・開発から生産までを専門の企業に委託するビジネスモデルのことです。

OEMはスタートアップ企業やD2Cブランドにとって、商品開発に必要なリソースや初期投資を抑えつつ販売できることで、多くの企業が導入しています。

まずはOEMの種類や概要を知りましょう。

OEMの種類

OEMの種類は以下2点のものがあり、各種ビジネスモデルが異なります。自社の方針に合わせた商品製作を行い、スムーズにコミュニケーションをとるためにも、各種の違いを把握しましょう。

委託者主導型OEM

委託者主導型OEMとは、委託側(D2Cブランド側)が商品の企画や製造の決定権を持って製造を依頼する形のOEMです。一般的にD2CブランドがOEMを取り入れる場合は、委託手動型が取り入れられます。委託側は商品の企画書や仕様、使用したい成分や原料に必要な費用などを提供するため、ブランドや商品のコンセプト、価値観を守りながら委託できるのがメリットです。

受託者主導型OEM

受託者主導型OEMは、受託側(OEMメーカー)が企画・製造や開発などの決定権を持ち、D2Cブランドなどに売り込みを行って商品開発を行う形のOEMです。

受託者主導型OEMはOEMメーカーの専門知識と効率的な生産体制を活用できることから、リソースが限られているD2C企業や、商品開発の専門知識が不足している企業におすすめです。

OEMを取り入れている業界

OEMはさまざまな業界で採用されており、中でも電子機器や自動車、健康食品や化粧品業界などのトレンドの移り変わりが早くて短期間で新商品を開発・販売することを要される業界にニーズがあります。

また、近年は上記の業界だけではなく、アパレル業界でもOEMが取り入れられています。アパレル業界は一つひとつの商品の製造に時間がかかることにくわえて、受注生産の場合は製造コストが高くなる傾向にありますが、OEMを導入するとロットで生産するとコストが抑えながらブランドコンセプトを守りながら開発・製造することが可能です。

OEMを導入するメリット

OEMを導入するとブランドや企業のリソース削減や業務効率化につながる多くのメリットがあり、中でもスタートアップや小規模でビジネスを行う企業が注目しています。しかし、OEMを取り入れる際は、利点を最大限に活かしつつ、潜在的なリスクを回避するための注意点も把握して進めることが大切です。

・ スタートアップでも商品を自社商品を製作できる

まず、OEMを活用すると、初期投資を大幅に削減しつつ高品質な市場に提供することが可能です。OEM企業に商品の製造を依頼するだけで、商品の製造や開発に必要な製造設備の確保や、材料の製造、資金の調達など難しい企業でも商品を製造・販売することができます。

・ 商品開発に必要な知識を得られる

OEMを活用することで、製造設備の費用は材料の製造費などの初期投資を大幅に削減しつつ、品質の高い商品を市場に提供できるようになります。

また、商品開発はブランディングのノウハウだけではなく、商品に使用する材料や配送、容器の知識が必要不可欠です。

OEMを活用すると商品開発に必要な上記の知識を持った企業に委託できることから、社内の教育コストを削減しつつ、商品開発に必要な必要最低限の知識を得ることもできます。

・ 小ロットから開発が可能

近年はコストの関係で受注生産を選ぶ企業もありますが、受注生産はLTVの維持やロイヤルカスタマーの獲得が難しくなることも。

小ロット生産に対応しているOEMメーカーを選ぶと、企業の規模や客数、売上に合わせて徐々に生産量を増やすことができます。そのため、過剰在庫による赤字のリスクを最小限に抑えることが可能です。

・ 製造過程のリソースを割いて販売や戦略に専念できる

製造プロセスをOEMメーカーに委託すると、製造のリソースが大幅に削減されます。そのため、商品にこだわりながらマーケティングや販売戦略、顧客サービスなどに集中することが可能です。

OEM導入時の注意点

OEMメーカーを導入する際は、以下2点に注意することも視野に入れましょう。

・ 生産工程では収益が生まれない

OEMで商品を製造している最中は売上が発生しないため、開発中は直接的な収益増加を期待することが難しくなります。

既存の商品を展開している中で新たに商品を製造している環境であれば大きな問題ありませんが、初めて商品を開発している時は、商品のコスト管理を徹底することを心がけましょう

・ OEMメーカーに依存すると自社の成長を妨げることも

OEMメーカーに製造の進行を過度に依存してしまうと、自社での商品開発能力や製造ノウハウが蓄積されにくくなることがあります。OEMメーカーに製造や開発を依頼する場合は不明点や使用材料はもちろん、商品に関わる法律なども確認しながら開発を進めることが大切です。

新規EC・D2CブランドにOEMを活用する方法

新規でECサイトやD2Cブランドを立ち上げる時にOEMを活用する最大のメリットは、迅速かつコストを削減しながら高品質な商品を展開できることです。

しかし、OEMメーカーは製造に特化している分、マーケティングはブランドやD2Cブランドや企業側が行う必要があります。そのため、商品を開発する際には、ターゲット市場の特性を深く理解し、消費者の要望に応える商品設計を心がけることが重要です。

新規サプライチェーンの立ち上げ・見直し時のOEM活用法

商品の製造方法から配送までの過程をサプライチェーンといいます。サプライチェーン見直す時にOEMメーカーへの委託を活用すると、OEMメーカーが培った商品製造の工場や、商品を作るうえでの知識を利用できるため、サプライチェーンの過程にある配送までの過程を効率化しやすくなります。

また、OEMを利用する時の一番のメリットは、商品の品質を保ちつつ、ユーザーと約束した時間に商品を届けられることです。さらに、環境に優しい方法で商品を作ることや、持続可能な素材を選ぶことで、ブランドの価値を高めることもできます。

サプライチェーンの立ち上げや見直しを行う時もOEMメーカーと協力しながら商品を作ることを心がけましょう。

OEMと類似する用語

OEMと類似する用語には、PB(プライベートブランド)ODM(Original Design Manufacturer)などがあります。この2つの用語は、商品の製造やデザインに関する異なるアプローチを表しているため、企業間でのコミュニケーションを円滑にするために各用語の意味を理解しておきましょう。

・ ODMは製造からデザイン考案までを受託企業が行うこと

製造開発を受託した企業が商品の設計や開発を行い、その商品を発注する企業のブランド名で販売する製造業者をODM(Original Design Manufacturer)といいます。

OEMは受託企業が商品の製造や開発を行いますが、ODMは商品の仕様設計やデザインも受託企業が行います。そのため、委託企業であるD2Cブランドが企画や考案のみを行いその他行程を行う場合はODMとなります。

ODMで商品製造を行う場合は、ブランド側が商品の仕様やデザインに関する詳細な要望をODM企業に伝えることが大切です。第三者であるODM企業の意見を取り入れることで、よりオリジナリティのある商品を開発・販売することができます。

・ PB:プライベートブランドはOEMやODMで製造された自社商品

小売業者や流通業者が自社のブランド名で販売している商品のことをPB(プライベートブランド)と言います。近年は大手コンビニエンストアやスーパーマーケットがPBを取り入れており、ブランド所有者の価値観や方針をもとに展開されているのが特徴です。

多くのPBで開発された商品は、OEMやODMによって製造されていますが、近年では自社工場で製造しているものや、メーカーとブランドで共同開発するPBもあり、さまざまな製造工程を経て展開することが可能です。

・ EC・D2CブランドはOEMとODMどちらを選ぶべき?

ECサイトを展開する企業やD2Cブランドの担当者や経営者の中には、OEMとODMのどちらを選択するか迷っている方も多いのではないでしょうか。

OEMとODMどちらを選択するか迷った際は、ブランドの目的やリソース、方針などを加味して選ぶのがおすすめです。

商品の設計や開発を他社に依頼したい場合や、多角的な目線を商品に取り入れたい場合はODMを選ぶと良いでしょう。一方、ブランディングやデザインなどの価値観を優先しながら商品の製造プロセスのみを依頼したい企業や、コスト削減を図りたい企業にはOEMがマッチングしやすい傾向にあります。上記の内容を参考に選定を行なってみてください。

OEMメーカーの選定方法

近年、数多くのOEMメーカーがあり、各社得意な業界や商材、強みやスケジュール、委託料が異なります。また、企業との相性は実際に委託を行わないと分からない事案も少なくありません。

ここからは、ブランドや自社と相性の合うOEMメーカーを選定する方法を紹介します。

・ 得意分野と価格面を調べる

まず、OEMメーカーを選定する際はその企業が得意とする分野や提供価格を調べることから始めましょう。各業界に特化したOEMメーカーの相場や業務範囲はブランドの予算やリソースに、コストパフォーマンスや品質は売り上げやブランドイメージに直結します。

上記の内容を事前に調べることで多くの企業の中から候補を厳選し、効率良く比較検討を行うことが可能です。

・ 各メーカーサイトに掲載している実績を見る

自社と類似する商品を展開しているメーカー公式サイトには、過去のプロジェクトや製造した商品の例が掲載されていることもあります。実際に目にしたことのある商品の製造の質や対応可能な商品範囲などを把握して、OEMメーカーを選定するのもおすすめです。

・ OEMメーカーが参加する展示会に足を運ぶのもおすすめ

OEMメーカーを検索エンジンなどで探していると、企業向けのエキスポや展示会の実施をを知ることもあるかと思います。

上記のイベントに参加すると、一日で多くのOEMメーカーと直接コミュニケーションをとって概要を知ったり、商品サンプルを見たりすることができます。また、業界の最新動向や他のメーカーとの比較も容易になるため、効率良くOEMメーカーを選ぶことが可能です。

・ 販売時に合う納期で開発できるかも確認すること

ネット検索や展示会などを経てOEMメーカーと相談を行う時は、商品の製造・販売スケジュールと納期がマッチングするかも必ず確認しましょう。

OEMメーカーが設定する納期が自社のタイムラインに合っているかを確認することで、商戦期や流行、自社のタイミングに合わせて商品を販売できます。また、納期を把握することで発注後の齟齬リスクを軽減することも可能です。

・ カートシステムの会社や代理店に相談するのもおすすめ

OEM導入が初めてで、周囲に相談できる人や企業がいないことも多いでしょう。この場合、カートシステムの会社や専門の代理店に相談することで、適切なOEMメーカーを紹介してもらえることもあります。

また、自社の状況やブランドの価値観を知っている他社企業に相談することで、客観的な意見を取り入れながらニーズに合ったメーカーを紹介してもらえるのがメリットです。協業をしている第三者に相談をしながら安心して委託をできるOEMメーカーを探すことも視野にいれてみてはいかがでしょうか。

OEMメーカーとのビジネスフロー

OEMメーカーに初めて商品製造を依頼するとき、予算や納期がいつ分かるか、商品のアイデアから最終的な納品までのタスクなどを知り、スムーズに依頼したいものです。

また、OEMメーカーに依頼するときのフローを知ることで、確認コストを削減しながら商品の製造を行うことができます。ここからは、実際にOEMメーカーに商品の製造を依頼した時のビジネスフローを紹介します。

1.OEMメーカーと打ち合わせ

はじめにOEMメーカーの候補が決まったら、商品の要件や品質基準およびビジネスの目標などの詳細事項を擦り合わせるための打ち合わせを行います。この段階で、両者の認識を明確にすることが重要です。

打ち合わせ段階では商品の完成イメージや仕様、注文数にくわえて納期やコストを打ち合わせして見積もりを算出してもらうこともできます。

2.試作品の制作とテストを実施

打ち合わせで決めた内容をもとに商品の設計が決定すると、OEMメーカーは試作品を制作します。この試作品をもとに設計の正確性、機能性、および市場での競争力を評価するためにテストされます。

3.生産方法の打ち合わせとサンプルの製造を実施

試作品のテストが成功したら実商品の生産に移る前に、サンプルの改良を行います。この時、ブランド側が不明点を抱えたまま実商品の生産に進めてしまうとイメージ通りの商品にならないことや、改良の可能性を狭めてしまうこともあります。

予算を加味しながら商品のパッケージや使い心地、成分や香りなどをどこまで改良できるかを相談したり、不明点をクリアにしたりといったコミュニケーションをとりながらサンプル商品を制作してください。

4.見積もりの依頼〜契約

完成したサンプルが問題ない場合は実商品をロットでオーダーするための見積もりや契約の締結を行います。双方で契約内容を確認して契約書の修正や加筆を行い、契約書の記名や押印、製本なども依頼するようにしてください。

この時、商品が商標に抵触していないか。また、契約内容が下請法に抵触していないかも確認しましょう。心配な場合は顧問弁護士に相談してリーガルチェックを実施するのもおすすめです。

見積もりや契約が締結されたら、正式に実商品の製造が開始されます。

5.梱包資材を選定し・テストの実施

OEMの委託を行うときは、梱包資材の選定も行います。例えば化粧品の場合は化粧箱と外箱、内箱、ボトル(容器)や未開封であることを証明するために貼る封印シールにくわえて、商品の保護に使うフィルム(シュリンク)も選定します。

梱包資材を選定した後は内容物と梱包資材のをチェックする耐内容物テストや、配送時の箱潰れや耐久性を見るために輸送テストを行い、商品が無事ユーザーの手元に届くかを検証します。

6.完成品の検品

商品の製造を終えたら実際に出荷や販売を行う前に品質検査を行います。この検査は、商品が法律などで定められた基準を満たしていることを確認するために行うため、販売後のトラブルを防ぐためにも重要です。

例えば健康食品や化粧品を販売する場合は、販売・製造に必要な書類を厚生労働省に提出したり、景品表示法や薬機法を基に必要な申請を行います。

7.納品

最終商品が品質検査に合格すると、OEMメーカーからブランドに実商品が納品されます。納品後はECサイトのリリースや販売の準備などを行いましょう。

各業界によって製造フローが前後することもありますが、一般的に上記のフローでOEMとの契約や委託を行います。

OEMメーカーは生産量・価格・納期を見て戦略に影響しない企業を選ぶこと

今回は、OEMメーカーに商品の製造を依頼することを検討しているブランドや企業にむけて、OEMの概要や各関連用語の解説にくわえて、実際にOEMメーカーに依頼した時のフローを紹介しました。

OEMメーカーを選定する際には、生産量や価格、納期などを慎重に比較検討することが大切です。今回紹介した内容を参考に自社の要件に最も適している、且つ将来的なニーズの変化に対応できる柔軟性を持つメーカーを選ぶ OEMメーカーを探して自社の発展につなげてください。

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