まずはECサイトをつくる目的を整理しておこう
「ECサイトを運営しよう!」と意気揚々とスタートしたものの、思うように売上が伸びない…その原因はもしかすると、ECサイトを作る「目的」が曖昧だったからかもしれません。
実は、ECサイトを作る際に目的が明確になっていないため、上手く事業を成長できないケースは少なくありません。
そこで今回は、ECをつくる際の目的の重要性と具体案について解説します。
EC構築の目的を整理する3つのメリット
ECサイトをつくる際に、「なぜサイトを構築するのか」「どんなサイトに成長させたいのか」といった目的を設定しておくことは、事業を成功させる上で重要な鍵となります。
まずは、EC構築時に目的を整理しておく3つのメリットを押さえていきましょう。
メリット1.サイトの立ち上げ時の失敗を減らせる
ECサイトで多い失敗の1つが、サイトの立ち上げ時に欲しい機能やデザインの修正が必要になるケースです。
EC運営では「とりあえずサイトを作ってから考えよう」という方も多いですが、ひと口にECサイトといっても扱う商材やターゲット、ブランドイメージによって機能やデザインは大きく違ってきます。
自分達がどんなサイトを構築したいのか、目的意識が曖昧な状態では欲しい機能や狙いとなるターゲットに刺さるデザインに仕上げることができません。結果として、余計なコストをかけて修正や機能の追加、中途半端な状態でのサイト開設といった後手後手のアプローチに陥ってしまいます。
目的がはっきりと定まっていれば、こうした無駄をなくし失敗のリスクを下げることができるでしょう。
メリット2.EC開設後の評価基準が明確になる
ECをつくる目的が最初の段階で定まっていると、開設後サイトの評価基準をはっきりさせることができます。
例えば、「20代の女性層をターゲットにしたサイトデザイン」という目的を掲げていたものの、実際は30代や40代のユーザーの利用が多かった→今後は当初よりも年齢層が上のターゲットも視野に入れていこう、といった具体的な評価を導き出すことができます。
また、サイトの売上を改善する施策を考える際も、目的がしっかり定まっていることで芯の通った一貫性のあるアプローチが実現できます。ECの失敗例で多いのが、目先の売上や集客に終始してサイトの方針がブレてしまうことですが、立ち上げの段階で目的がはっきりしているとこうしたブレが減り、軌道修正が容易になるでしょう。
メリット3.将来的にサイトが成長しやすい
ECサイトでは新規顧客の獲得だけでなく、継続して購入してくれるリピート顧客の獲得が大切です。サイトの目的がはっきりしていると、中長期的にブレのない運営ができるとご紹介しましたが、ブレのない運営は顧客のファン化を後押ししてくれます。つまり、リピート顧客の獲得にも繋がりやすいということ。
中長期的にサイトに貢献してくれるファンが増えることは、将来的にサイトを成長させる強い材料となるでしょう。
ECサイトの目的となる具体案
では、ECサイトの目的を定める場合、具体的にどのような項目が挙げられるのでしょうか。
1.ECサイトでの売上拡大を目指す
もっとも多いのが、ECサイトでの売上拡大を目指す方針です。
ECへの集客や購入を増やし、事業を拡大していくことが目的となります。ECというネット上のフィールドでビジネスを展開できるため、時間や場所、国境を選ばずに販売を行えますが、一方で競争相手もそれだけ多いことになります。また集客手段がWebに限られることから、SNSやオウンドメディアなどを上手く連携させた戦略的なマーケティング施策が欠かせません。
ECだけで勝負するのであれば、じっくり練り込まれた戦略やビジョンといった「目的」をはっきりさせ、必要にあわせて外部サービス等で専門的なサービスやノウハウを導入していきましょう。
2.ECサイト起点に実店舗への集客を目指す
2つ目は、ECサイトで獲得したユーザーを実店舗に誘導し売上に繋げる方法です。いわゆるO2O(Online to offline:オンライン・トゥ・オフライン)のことですが、近年はコロナ禍や体験型サービスの人気を受けて注目が高まっている手法といえます。
ECで自社の商品やサービスに興味を持ってもらい、実際に購入してもらうことでお試ししてもらう。そこから「実店舗にも足を運んでみよう」というユーザーを増やしていくことが狙いです。食品系のECではよく見られる手法といえます。
実店舗への集客を目指すのであれば、ECでは商品やサービスに興味を持ってもらう「お試しセット」のようなラインナップが考えられるでしょう。また、サイトコンテンツにも実店舗の情報を掲載し、うまく誘導するような設計を採用すると集客に繋がりやすいでしょう。
3.店舗からECサイトへの集客を目指す
3つ目は、店舗からECサイトへの集客を目指す方法です。さきほどの実店舗への集客を目指す手法とは逆の経路を辿ることになります。
マーケティング視点でいえば、オムニチャネル戦略がイメージしやすいでしょう。ユーザーが実店舗だけでなく、あらゆるチャネルからアクセスして商品やサービスを楽しむことで、全体の売上拡大を目指すことが目的です。また、常に自社と接する環境を提供できるため、ユーザーがリピート購入しやすいメリットも得られます。
施策としては、店舗での購入時にサイトの存在を認知してもらうことが大切です。例えば、QRコードを使った簡単なアクセスや、SNSアカウントを紹介するといった方法が挙げられます。また、ECで購入した商品のメンテナンスを実店舗で行える、というサイクルが作れると、ブランドへのロイヤリティをさらに高めることができるでしょう。
4.サイトでのブランディングや顧客関係の強化
サイトを使って、自社のブランディングや顧客関係を強化することもECをつくる目的の1つです。ユーザーとの接点を作り、継続的な関係を構築するにはネット媒体は有効な戦略といえます。
注意したいのが、あとからブランディングを進めるのは難しいということ。サイトの売上が伸び悩み、急遽コンセプトやビジョンを付けたしてカンフル剤にしようというケースが見られますが、そもそもの設計や機能、デザインが違っているため大変な労力がかかります。
こうした労力をかけることなく、あとから無理をする必要がないようにサイトの構築時に目的を定めておくようにしましょう。
まとめ
今回は、ECサイトをつくる「目的」の重要性と、具体案をご紹介しました。
ECビジネスは右肩上がりで成長しており、だれでも手軽に始められるとして新規参入が増えています。しかしなぜECサイトを作るのか?という目的が曖昧なままサイトを開設しても、うまく売上が上がらず事業が失敗に終わってしまうケースも少なくありません。こうしたリスクを回避して、中長期的に安定した成長を目指せるサイトを作るためにも、「目的」をしっかり定めたサイト構築を目指しましょう。