ECサイトで売れる商品、売れない商品の違い
ECサイト(通販・ネットショップ)ではどんな商品が売れるのか、知りたい方も多いのではないでしょうか?
私たちの生活に欠かせない存在となったECですが、商品の種類によって売れる商品と売れない商品の傾向が分かれています。
今回は、データを参考にしながらどんな商品が売れるのか、またコロナ禍や消費行動で見えてきた変化について解説します。
EC化率から見る売れる商品、売れない商品
ECサイトでどんな商品が売れているのか知る材料として、今回はEC化率を参考にしたいと思います。EC化率とは商品を購入する際にどれくらいの人がECを利用しているかを意味する割合で、ネット通販からどれくらい売れているのかを知る客観的な指標といえます。
機能やサイズがイメージしやすい商品がECでは売れている
経済産業省が毎年発表している『電子商取引に関する市場調査(2020年)』によると、もっともEC化率が高い物販系の商品は書籍・映像・音楽ソフトの分野で42.97%となっています。市場の約半分をECを通して購入していることになり、次いで「生活家電・PC周辺機器」の37.45%、「生活雑貨・家具・インテリア」の26.03%となっています。
EC化率が高い商品の傾向を見てみると、機能やサイズ、サービスの内容がイメージしやすいことが共通点に挙げられます。こうした商品なら、ユーザーはわざわざ店舗に足を運ぶ必要もなく、ECで購入した方が安く購入できるといったメリットがあります。
実店舗で試したい商品や高額商品はEC化率が低い
一方で、EC化率の低い商品を見ていくと、「化粧品・医薬品」が6.72%、「食品・飲料・酒類」が3.31%、「自動車・パーツ」が3.23%とEC化率が低い状態となっています。こうした商品の傾向を見ていくと、実店舗で確認してから購入したい種類や、商品に対して安心や信頼を得てから購入したい商品が多いことが分かります。
また、車などは高額商品が多く、ECで購入を決断するには金額が高すぎる点がネックです。
このように、実店舗で実際に商品を試してから購入したいというニーズが高いと、ECでは売れない傾向が強いといえます。
変化の兆しが見えてきた売れない商品の動向
ここまで、直近のEC化率のデータを元にECで売れる商品・売れない商品の傾向について解説しました。
売れない商品には実店舗で購入したいというニーズが大きく影響していることが分かりました。しかしこうした状況に変化が現れています。
背景にあるのはコロナ禍による消費行動の変化です。
ステイホームや営業自粛で飲食系ECが増加傾向に
2020年初頭から感染が拡大した新型コロナウイルスの影響により、飲食店は大きな影響を受けました。ステイホームやリモートワークの増加、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置による営業自粛で、売上を大きく減らしました。
一方でUber Eatsをはじめとしたデリバリーは需要が大きく伸び、これに呼応するように食品系ECの売上も増加しました。ユーザーとしても屋外での娯楽が減ったため、せめて屋内での食事は楽しもうとする動きから、ECを利用するケースが増加。これまで“売れないEC”と呼ばれてきた食品系ECが脚光をあびはじめています。
ユーザーのニーズの変化を受けて、これまで実店舗だけにこだわっていた人気店舗がECに出店したほか、あえて業態をECに絞った店舗も続々とオープンするなど、来年以降の食品系EC化率は注目が集まるポイントです。
パーソナライズ化や動画を活用したマーケティングも人気
また、化粧品業界では近年個人の体質やニーズに合わせたパーソナライズ商品を提供することで、ECでの巻き返しを図っています。AI技術を使ってスマホ上でカウンセリングをおこない、個人に最適化した商品を販売するなど、実店舗により近い形での販売形態を増やしています。
また、高額商品は動画やVRといったさまざまなツールを使ったマーケティング施策を導入することで、店舗に行かずに「体験」できる仕組みを構築。また、“売らないお店”に代表される商品のお試しに特化した店舗でファンを増やし、ECへ送客するといった仕組みも近年のトレンドです。
まとめ
ECサイトで購入された割合を意味するEC化率のデータを見てみると、機能やサイズがイメージしやすい商品は、ECで売れやすい商品という傾向が見て取れました。
一方で、実際に商品を試してから購入したい、安心や安全を確かめてから購入したいといった商品はEC化率が低い傾向にあります。
しかしコロナ禍での消費行動の変化や、最新のツールを使った体験型のマーケティングを導入することで、売れない商品の動向にも変化がみえています。
SNSをはじめ、企業のアイデアや“想い”を伝えやすい環境は整っていることから、今後は売れる商品・売れない商品という枠に捉われず、まずは「ユーザーになにを届けたいか?」という根源的な価値がEC事業の成否の鍵を握ります。
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