通販事業経験者が教える「カート移行時」に考えておきたいポイントとは?
ネット通販を運営していくうえで、最も大切なシステムであるといって過言ではないカートシステム。
あなたの会社でも、カートシステムの移行を考えたことがあるかもしれません。
ご存知の方も多いかと思いますが、カート移行には大変な費用と労力が必要となっていきます。
今回は通販事業経験者がカート移行時に見落としがちなポイントと考えるべきことをまとめてみました。
カートを変えるタイミングとは?
カート移行を考えるタイミングは様々。
- 顧客数が大幅に増えたとき
- 公式サイトとモールのサイトを一元管理したいとき
- カスタマイズを自由にしたいとき
挙げればきりがありませんが、会社によってその理由は様々です。
しかし、最も大きな理由は「今よりも良くしていきたい」ということではないでしょうか。
誰のためのカート移行?
カート移行する際に大切なことは、「誰のためにカート移行を行うのか」「何のためにカート移行を行うのか」ということです。
ユーザーにとって、見やすく使いやすいことも大切ですが、販売事業者が「やりたいこと」「不便を解消したいこと」を実現することも大切な要素の一つです。
例えば、
- Aというカートシステムを利用すれば、ロジ側の不便が解決しそう!
- Bであれば、顧客の導線がスムーズになりそう!
- Cであれば、今よりも充実した顧客サービスが提供できそう! などなど・・・
ここで大切なのは、何を最優先するか、ということと、それを優先したことで今より不便になる可能性が起きてこないか、という両面をきちんと深堀していくことです。
自身も経験したよくある失敗談。
ここで2つ、事例をご紹介しましょう。
1つ目は、他のカートではできない会員サービスを最優先してしまったために、従事者が苦労してしまったパターンです。
それまでは、カスタマイズしやすく、サイトのデザインや表示などに融通が利くカートを利用していました。
しかし、そのシステムでは導入することが出来なかった顧客サービスがあり、売上を伸ばし、リピーターを増やすためにカート移行をする決断をしました。
さらに、新しいカートシステムになれば、自ずと従事者の負担は減るだろうと考えていました。
しかし、実際にカートを切り替えてみたところ、今まで自由にできていたデザインが制限されてしまっただけでなく、システム内で決められた表示しかできなくなってしまったため、満足のいくデザインや表示をするためには、せっかくの動的なシステムを、すべて静的なものに変更せざるを得なくなってしまいました。
こうなると、ちょっとした変更をするために、担当者がこまごまとしたシステム側の設定を都度変更する必要が出てしまうだけでなく、デザイナー側の負担も非常に大きくなってしまいます。
本来、ユーザー満足度を上げるだけでなく、従事者の負担も減らせると考えていたにもかかわらず、余計な工数が増えてしまい混乱を招く結果となってしまいました。
2つ目は、サポートがしっかりしていなかったために、カートシステムを使いこなせなかったパターンです。
ECサイトの立ち上げ時に導入したシステムがあまり使い勝手が良くないと判断した経営者の方が、会員数が少なく、カート移行の負担が少ないうちに使い勝手の良いシステムに変更する決断をしました。
実際、カートの機能は素晴らしかったのですが、担当者がついているわけではなく、さらに、サポートセンターになかなか連絡が付きません。
少数で立ち上げたうえ、社内にEC経験に詳しい者がおらず、調べるだけで多くの工数を割かれてしまいます。
特に小規模事業者の場合、少ない人数で様々な業務をこなす必要が出てきます。
このような場合、機能が優秀でもサポートがしっかりしていないと、せっかくの機能を使いこなす前に、疲れ果ててしまい、必要最低限の機能だけを使っている、という状態に陥りかねません。
その他にも、いざ切り替えを行ってみたところ、
- カート移行時に接続できるクレジットカードの登録数が異なっていることを知らなかったために顧客の決済にトラブルが起きた
- 従量課金制だったためモールとまとめて管理した結果、連携ツールを使用していたときよりも割高になってしまった
- メール配信の上限数が少ない、もしくは、1通あたりの単価が高いため別ツールが必要となってしまった
と、運営を始めてからやっと気づくデメリットもあります。
ここをしっかり押さえてカート移行を検討しよう!
POINT1 サポート体制はしっかりしているか
カートシステムはECサイトの生命線。
ここが不具合を起こしてしまうと、大切な売上の機会損失を起こしてしまいます。
また、配送のトラブル、決済のトラブルなど、顧客との間にすぐに解決したい問題が起きた場合、その原因を探る必要が出てくる際にも、カートシステムは重要な役割を持っています。
- なぜこうなってしまったのか?
- どこが間違っているのか?
- どう対処すればよいのか?
今すぐ解決したい!
事業者がそう願うとき、心強いのがサポート体制です。
このサポートというのは、顧客との間にトラブル発生した際、即時対応が求められる場合も多くあります。
しかし、
- なかなかサポートデスクに電話がつながらない
- 担当部署と話ができない
- 1次対応者にしか繋がらず解決に日数を要する
- そもそも誰に相談したらよいのかわからない
- たらいまわしにされる
こういったことも、往々にして起きる可能性があります。
また、チャットやメールだけのサポートというものもあります。
必要な情報をテキストでもらえるだけでなく、リンクも貼ってもらえて便利!という面もありますが、緊急を要する場合には、厳しい状況に陥ることもあります。
やはり、サポート体制がどのようになっているかは非常に大切なファクターです。
カートシステム選定時には、サポート体制がどのようになっているかをECカート会社に確認するだけでなく、そのシステムを利用している会社とつながりがあれば、利用している側の声を聞いてみることも大切です。
POINT2 もっとも優先すべき事項は何か
カートシステムを切り替えたいと考えたとき、もっとも解決したいことは何でしょうか?
まずは、これを考えていきましょう。
- 最も解消したいボトルネックは何か
- 新たに導入したい仕組みは何か
わざわざ新しいシステムを入れるのであれば、不便が解消され、行いたいことがきちんと行える、これが一番です。
まずはどうしていきたいのか、というビジョンをしっかりと出しましょう。
その次に考えることは
- 今までできていたことがきちんとできるか
- 各担当者が不便になることは起きないか
通販には、様々な人が関わります。
受注担当者、コールセンター、ロジ担当、問い合わせ担当、デザイナー、そして、エンドユーザー。
何か一つの突出した機能を優先したために、その他の機能が今より劣る可能性がある、ということも考えられます。
各方面としっかりすり合わせを行い、目標のために同じベクトルであることを確認するだけでなく、以前より不便になるというデメリットがあっても、メリットを優先するべき!という前向きな決断が出来ていると、内部での混乱を防ぐことができます。
最後に考えることは
- トータルの費用でロスがでないか
- 各種連携ツールとジョイントできるか
例えば、
- デフォルトで使えると思っていた決済手段が、別途契約が必要だった
- 今まで使っていたツールとの連携が限られていた
- 新たなツールを連携させる必要がでてトータルでコストが上がってしまった
こういうこともないとは限りません。
いったんユーザーになりきって、受注から到着までを書き出してみましょう。
そして、そこに関わる「人」「部署」「ツール」といったものを付記していき、きちんと連携ができるか、ロスや重複はないか、さらに、トータルのコストがどうなるか、といったことを確認するのも大切です。
POINT3 必要な経費を削らないこと
カート移行には、様々な費用と工数がかかります。
事業者としては、できるだけ費用はカットしたいところ。
しかし、様々な情報とシステムが絡み合っているECサイトでカートシステムを移行するには、専門的な知識と経験が必要です。
そのためには、きちんとプロに依頼する部分は依頼するようにしましょう。
自分たちで!と費用を削減した結果、思いもよらぬ工数がかかってしまったり、後々に不具合が生じてサイトをクローズする必要が生じ、機会損失が生まれてしまうこともあります。
特に、データ移行は大変な作業です。
個人情報も膨大に取り扱うため、必要な箇所は、きちんとプロに任せる決断も大切です。
まずは人任せにせず会社全体で考えよう
カート移行時には、大変な労力と工数がかかるだけでなく、思いもよらぬ事態がかなりの頻度で発生します。
ユーザーや従事する人をハッピーにするために行なったはずだったのに、誰かひとりでも「こんなはずじゃなかった・・・」と思ってしまってはもったいありません。
経営陣だけの判断、現場だけの判断ではなく、会社全体でしっかりと考えて取り組み、時間にもしっかりと余裕を持ち、様々な負担を最小限に抑えて行えるといいですね。
どのカートの機能が良いか、ではなく、自分たちの商材にはどのカートシステムが良いか、という視点で考えていくと、満足するカート移行が行えると思います。
EC通販に精通したプロがお答えいたします。