ウィズコロナでEC化率は上がった?
新型コロナウイルスの流行により、ウィズコロナ時代を迎えた昨今。ビジネスモデルの転換期とも呼ばれていますが、とくに注目を集めているのがEC(通販)ビジネスです。
今回は、ウィズコロナでEC化率は上がったのか?という疑問について解説します。企業の売上データを参考にしながら、EC業界の現状を深掘りしていきましょう。
ウィズコロナでEC化率は上昇傾向にある
まず結論から述べると、ウィズコロナによる市場全体のEC化率は上昇傾向にあります。
EC化率とは、商取引全体に対するECの市場規模の割合のこと。EC化率が高いということは、ECの利用や売上が拡大していると捉えることができます。
2020年初頭から世界を襲った新型コロナウイルスの流行は、既存のビジネスモデルに大きなダメージを与えました。とくに飲食店に代表される実店舗は売上が大きく減少。代わって急成長したのが、EC市場です。人との接触を避けながらショッピングを楽しめるECサイトは、ウィズコロナ時代と相性が良く、「巣ごもり消費」の追い風を受けてビジネストレンドの1つに数えられています。
大手モールはもちろん自社ECも大幅成長を記録
実際にEC化率の上昇を裏付けるデータをいくつか見ていきましょう。
国内の大手ECモール「楽天」は2020年8月に発表した4?6月期の決算説明会において、ECでの売上が前年同期比で48.1%増加したと発表しました。4月から6月は緊急事態宣言の発令により、全国的な自粛傾向がピークを迎えていた時期。ウィズコロナによるEC化率の上昇が顕著に現れた数字といえます。
また、国内3大モールの1つ「ヤフーショッピング」も、2020年4-6月期の決算説明会において、ECを中心としたショッピング事業が前年同期比で85.9%の大幅増を記録したと発表。フリマアプリの「メルカリ」も同様に前年同期比で40%の成長を記録し、リコマース(中古EC)業界もウィズコロナを追い風にして業績を伸ばしています。
モールだけでなく自社ECに注目すると、アパレル大手「ユニクロ」は3-5月期のEC売上高が前年同期比47.7%増。通年では1,000億円超える勢いです。ベイクルーズ(アダリスト)は、2020年2月期の発表で前年比137%のアップ。「GU」もECの売り上げがコロナ前のおよそ4倍に達するなど、企業単位でもEC化率の上昇傾向が顕著です。
参考記事
:楽天、第2四半期のショッピングEC流通総額は48.1%増
:Zホールディングス 2020年度 第1四半期(4-6月期)
:コロナ禍で日米のECビジネスの売上はどの程度押し上げられる?
:ベイクルーズのEC売上高が500億円突破
:ユニクロのEC売上高が1000億超える勢い
:GUがコロナ禍でも「EC売り上げ約4倍」の成果を上げられた理由
ECの新規出店数の増加からもEC化率のアップがうかがえる
ウィズコロナによるEC化率アップを読み取れるもう1つのデータが、ECの新規出店数です。
楽天では4月から6月末の3か月間で「楽天市場」出店者が1,258店舗増加。これにより出店者数は2020年6月末で5万1,153店に達し、楽天として初めて5万店を突破しました。また、無料のEC構築サービスとして人気の「BASE」は、2020年4-6月期の新規開設数が前年同期比229%増を記録。コロナ禍による売上の落ち込みやビジネスモデルの転換を迫られた事業者が、新たにEC事業に参入している状況が見て取れます。
参考記事
:新型コロナでECビジネスを始める企業が急増
EC参入後に浮き彫りになる課題も
EC化率がアップしたことで、業界全体としては好調を維持しているECビジネスですが、一方で新たな課題も見えてきました。
店舗数の増加によりEC事業の競争が過熱化。とくに新規参入した事業者は、集客力に乏しく、サイトへの流入を稼げない状況にあります。また、そもそもECの運営ノウハウに乏しく、慣れない業務から成果を残せないケースも少なくありません。
いくらウィズコロナという追い風があっても、利用するユーザーの目はシビアです。片手間でサイトを構築するだけでは、新たな事業の柱として成長させることは難しいでしょう。これからECへの参入を検討するなら、きちんとしたプランを練ってアプローチすることが重要です。
また、あえて開設が容易なモールや無料サービスを避け、有料のECサービスを利用するのもおすすめです。質の高いサイトの構築やサービスの提供は差別化を図るにはうってつけで、中長期的なスパンでの利益が見込めるでしょう。
まとめ
今回は、ウィズコロナでEC化率は上がったのか?という疑問について解説しました。
ウィズコロナによるライフスタイルの変化受けて、EC化率は大幅に増加しています。このタイミングで初めてECを利用したというユーザーも多く、今後も新規ユーザーの増加傾向が予想されます。
一方で、ECへの出店が増え、競争が過熱化しているのも事実。PRECSのカートシステム「リピスト」なら、初めてEC事業に参入する方でも本格的なECサイトを構築することができます。新たな事業の柱としてECをご検討中なら、ぜひリピストのご相談ください。