定期購入トラブルで規制強化が進む?信頼性のあるECサイト運営を心がけよう
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、ECサイトの利用者が大幅に増加しました。一方で、定期購入をはじめとした契約トラブルも増加しており、消費者庁では規制強化に乗り出す動きも見られています。
今回は、定期購入を中心としたコロナ禍でのECトラブルの現状や、今後事業者が取り組むべきポイントについて解説します。
コロナ禍でECサイトの定期購入トラブルが増加
総務省統計局が発表した調査結果によると、2人世帯以上でのネットショッピング利用世帯の割合は緊急事態宣言が発令された4月以降大幅に上昇。5月には50.5%を記録し、同調査を開始してから、はじめて50%越えを記録しました。
巣ごもり消費によるECサイト利用の増加が背景にありますが、一方で問題となっているのが定期購入に関するトラブルです。消費生活センターに2020年寄せられたネット通販を巡る相談は、前年比5万7284件増の27万3,271件。これは過去5年で最多の数字です。とくに「お試し商品」に関する相談は、前年比1万4,149件増の5万8,902件と突出しており、定期購入に関するトラブルが増加していることが伺えます。
トラブルの増加を受けて規制強化の動きも
具体的には、「安価や無料として告知されていたお試しキャンペーンを利用すると、実際は定期購入契約を結ばされるものだった」といったケースが多く見られます。高額の商品代金や解約料を請求されたといった事例が頻発しており、悪質なケースでは「窓口が電話のみに限定されるているのにまったく連絡がつかず、そのまま解約期限を迎え支払いだけ求められた」といったケースも相談されています。
こうしたECに関する悪質な定期購入トラブルの増加を受けて消費者庁では規制強化に乗り出す動きも見られています。きちんと規制を設けることで、消費者をトラブルから守る・悪質な事業者を排除する、といった狙いがあります。
今後の規制強化に向けてEC事業者が押さえておくべきポイントは?
さて、規制強化の具体的な内容にもよりますが、EC事業者にはこうしたトラブルを起こさないことはもちろん、消費者が安心して購入できる環境を整備しておくことも大切です。
具体的なポイントを整理しておきましょう。
1.キャンペーンや契約内容を明記する
まず、キャンペーンや定期購入の契約内容に関して、詳しい情報を明記しておくことが重要でしょう。「無料」や「初回限定」といった耳障りの良い情報だけでなく、契約後にどういった支払いが発生するのか?契約期間はどれくらいなのか?定期購入の有無はどうなっているのか?すぐに分かるような情報を用意しておきましょう。
また、問い合わせやカスタマーサポートにおいても、こうした問い合わせに正確な回答ができるよう情報を共有しておくことが大切です。
2.解約方法をきちんと説明する
悪意を持っていない場合でも、キャンペーンや契約内容をきちんと読まず定期購入トラブルが発生するケースは十分考えられます。そこで、こうしたトラブルが発生しても丁寧な対応ができるよう、解約方法に関する説明をきちんと用意しておきましょう。
コンテンツ内で解約方法を紹介する他、回りくどい解約ページは可能な限り用意しないのが無難です。解約をとどまってもらうために、複雑な解約手順を用意しているサービスは多いですが、これはブランドのイメージを毀損するだけでなく、トラブルを大きくする原因にもなります。
中長期的な視点に立って、ブランドイメージを守りつつトラブルを回避する仕組みを用意しておきましょう。
3.Q&Aを用意する
サイト内によくある疑問や質問に関してQ&Aといった形でコンテンツを用意しておきましょう。こうしたコンテンツはユーザーの疑問を解決するといった目的だけでなく、安心して利用できるサイトであることを伝える役割も担っています。
また、契約内容やキャンペーンを告知する文章やバナーで、あえて「定期購入ではありません」「10日間以内にご連絡で契約を解除できます」といった文言を用意しておくのも効果的です。自分達のサイトは安心して利用できるというメッセージを、ユーザーに届けるための工夫を施しておきましょう。
まとめ
新型コロナウイルスによる巣ごもり消費の拡大を受けて、ECサイトの利用率は大幅に増加しました。一方で、悪質な定期購入トラブルに関する相談件数も増加傾向にあり、消費者庁では規制強化に向けての動きが加速しています。規制強化の有無に関わらず、安心して利用できるECサイトであることは、事業を成長させる必須条件です。ブランドの価値を高め、長く選ばれ続けるサイトになることを強く意識して、サイト運営に取り組んでいきましょう。