【2022年版】サブスクD2Cの成功事例と失敗の理由
定期購入で商品を販売するサブスク(サブスクリプション)は、日本市場でもすっかりお馴染みのビジネスモデルとして定着しました。D2Cブランドにおいても成功事例は多く、さまざまな商材を使ったサブスクD2Cが次々と誕生しています。
一方で、満を持してスタートしたサブスクD2Cが売上を伸ばせず、サービスを終了するといったケースも見られます。その理由はどこにあるのでしょうか?
今回は、国内のサブスクD2Cモデルの成功事例の解説と、失敗したサービスの理由について考察していきます。
国内サブスクD2Cの成功事例3選
サブスク(サブスクリプション)とは定期購入サービスのことで、定額料金を支払うことでサービスや商品を利用できるビジネスモデルのことです。
馴染み深いのが動画見放題サービスで、「Netflix」や「Amazonプライムビデオ」など月額料金ですべての動画タイトルを見放題で利用することができます。
ECサイトでもサブスクモデルは人気を集めており、自社で製造から販売までをすべて担うD2Cモデルを採用したサービスも続々と登場しています。
では、国内のサブスクD2Cブランドの中から、成功事例と呼ばれるブランドをご紹介していきます。
1.BASE FOOD(ベースフード)
BASE FOODは、完全栄養食を販売するD2Cブランドです。「BASE FOOD継続コース」という仕組みが用意しており、毎月BASE FOODの商品が手元に届くサブスクモデルが利用できます。
完全栄養食とは、人が健康を維持するために必要な栄養素を全て含んだ食品のことで、国内外で「フードテック」の分野として注目が高まっています。
同ブランドでは『主食をイノベーションし健康をあたりまえに』という明確なミッションを掲げて、立ち上げ当初からクラウドファンディングによる資金調達を実施しました。国内ではまだまだ知名度の高くなかった完全栄養食の存在を認知してもらい、その必要性を強く訴える手法としては効果的で、ブランドのミッションに共感した強固なファンを軸に、着実に売上を伸ばしていきました。
2.snaq.me(スナックミー)
snaq.meは、おやつを販売するD2Cブランドです。
snaq.meではサービス開始時におやつ診断を実施。その結果を元にユーザーの好みに応じて、毎回8種類のおやつがランダムで届く仕組みです。
おやつは100種類を超え、毎回どの商品が届くのかは開封するまでのお楽しみ。おやつの美味しさはもちろん、ワクワク感のある顧客体験もあり、根強い人気を集めています。
3.MEDULLA(メデュラ)
MEDULLA(メデュラ)は、国内初のオーダーメイドシャンプーを提供するD2Cブランドです。
オンラインの髪質診断を利用することで、ユーザーの髪質にぴったりのオーダーメイドシャンプーを購入することが可能。商品は定額料金で4週間に一回届くサブスクモデルを採用し、毎回診断をアップデートすることでその時期の髪質に最適な処方でシャンプーを製造してくれます。
これは近年のトレンドと呼べるパーソナライズ化を上手に採用したサブスクD2Cと呼べ、「自分だけのシャンプー」という限定感や特別感がユーザーの心を掴みました。また、国内のシャンプー市場は既製品の数が多く、自分の髪質と相性の良いシャンプーになかなか出会えないという「シャンプー難民」の課題解決に繋がった点も成功の秘密です。
サブスクD2Cが失敗する理由は?
ここまでサブスクD2Cの成功事例をご紹介してきましたが、一方でサブスクモデルを採用したD2Cブランドの中には思うように売上を伸ばすことができず失敗してしまったケースも存在します。
その理由はどこにあったのでしょうか?
理由1.収益化が見込めなかった
サブスクD2Cの失敗事例で多いのが、収益化が見込めなかったケースです。
サブスクモデルは定期購入が見込めるため、収益化しやすいビジネスモデルとされています。しかし、サブスクD2Cでは収益化のために必要な新規顧客の獲得で苦戦するケースが多く見られました。
これはD2Cのビジネスモデルが大きく影響しています。
D2Cは自社ですべてのオペレーションを完結するため、集客やマーケティング面も自社で担う必要があります。そのため、新規顧客を獲得し収益化を実現するまで、ある程度の時間を要してしまいます。
また、成功事例からも分かるように、サブスクモデルではユーザーに対してサービスや商品以外の「付加価値」を提供できるかが新規顧客獲得の大きなポイントです。こうした部分が曖昧なまま、D2Cとサブスクという目新しさだけに飛びついてしまい、採算が取れなかった…といった失敗事例は少なくありません。
理由2.ユーザーが卒業してしまった
もう一つの理由は、ユーザーが卒業してしまったというケースです。
これはあるサブスクD2Cで行ったケースですが、同社では商品を自社でセレクトして毎月提供するサブスクビジネスを展開していました。しかし、サービスを継続していたユーザーが、あるタイミングで解約してしまうケースが頻出しました。
実は、ユーザーが毎月届く商品を使っている間に、自分の好みの商品に出会ってしまい、サービスを卒業してしまったというのが解約の理由でした。
サブスクモデルではLTVの向上が収益化を見込む上で重要な指標となりますが、これでは目論見が外れてしまい、新規顧客をまた探さなければならない自転車操業に陥ってしまいます。
同様のサービスを提供しているsnaq.meが上手だったのは、おやつの種類を豊富に用意して商品を開封するワクワク感という「体験」に重きを置いていたこと。商品の価値ではなく、サービスの価値に軸を置くことはサブスクD2Cのポイントと呼べるでしょう。
まとめ│サブスクD2Cの成功に繋がる3つのポイント
今回はサブスクD2Cの成功事例と失敗の理由について解説しましたが、サブスクD2Cでの成功事例には次の3つポイントが含まれていました。
- 共感
- 体験
- 課題解決
まず、サービスを立ち上げた背景や目指すミッションやビジョンを明確にして、ユーザーからの「共感」を誘います。次に、商品の機能性だけでなく、「体験」に価値を置きサービスを提供します。最後に、ユーザーの悩みや不安といった「課題解決」に繋がるという視点を重視します。
成功したサブスクD2Cは、この3つのポイントを最低2つは満たしていることから、これから事業を立ち上げる上ではしっかり押さえておきたい項目と呼べるでしょう。
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