D2C・リピート通販・単品通販の違い - リピスト | EC/D2Cサイト構築システム

D2C・リピート通販・単品通販の違い

D2C・リピート通販・単品通販、どれも通信販売の事業モデルを指す言葉で、それぞれのモデルの領域が近く混同して使われやすい言葉ですが、実は違いがあります。

この違いを把握できていないと、D2Cモデルを目指しているのにリピート通販の施策を行ってしまうといった、ゴールと施策の不一致が発生してしまいます。

各モデルの違いを把握し、自社のECがどのモデルを目指すのかを決めておきましょう。

各モデルの特徴

各モデルの特徴は下図のようになっています。

最大の特徴 定期購入 自社ECサイト
D2C 顧客との双方向性 必須ではない 必須
リピート通販 定期購入の仕組み 必須 必須ではない
単品通販 アイテム数の絞り込み 必須ではない ほぼ必須

以下、それぞれの詳細を解説します。

D2C

一般的にD2Cの要素として挙げられるのは

  • ・メーカーから顧客への直接販売
  • ・世界観の構築
  • ・顧客との関係構築
  • ・デジタルマーケティング
  • ・モノ消費ではなくコト消費
  • ・ミレニアル世代がターゲット

などがありますが、最も大きな特徴は顧客との双方向性のコミュニケーションにあります。

InstagramやTwitterなどのSNSや、自社ECのレビュー、オウンドメディアなどを使ってコミュニケーションを促進し、ユーザーの声をCSのみならず商品開発やサービスの拡充に活用します。
コミュニケーションの主軸はインターネット上なので、事実上、自社ECサイトの構築が必須の事業モデルです。

リピート通販

リピート通販の定義はシンプルで、定期購入(または継続課金)を前提としているか否かです。
マーケティング上の特徴として、D2Cモデルよりも新規獲得の重要度が高く、2ステップマーケティングや初回購入時の大幅な割引といった施策が多く見られます。
顧客との関係構築も積極的に行われますが、コミュニケーション手段はSNSよりも、メールやLINE、同梱物、DMなどの比重が高くなっています。

必ずしもECサイトがあるわけではなく、主にシニア層をターゲットにした電話注文を主体とするリピート通販企業も存在しています。

単品通販

単品通販は商品点数を1~数点のみに絞った事業モデルで、必ずしも定期購入を前提とはしないものです。

定期型と非定期型に分かれ、定期型の単品通販はリピート通販とほぼ同義です。
非定期型は機能性インナーなどが代表的な商品で、LTVよりも初回の購入単価が重視される点に特徴があります。

自社ECの他に、楽天やAmazonなどのモールでの展開も多く見られます。

各モデルのメリット・デメリット

D2Cのメリット・デメリット

メリット

  • ・広告、検索以外の流入が得られる
  • ・収益を安定させやすい
  • ・ユーザーとの強力な関係構築ができる
  • ・マーケットインの商品開発の実現
  • ・クロスセルを展開しやすい

デメリット

  • ・初期費用が高い
  • ・運用コストが高い
  • ・マーケティングが難しい

D2Cはうまく展開できればユーザーによるシェアで広がっていくので、広告や検索以外の流入経路を得ることができます。また、ユーザーのロイヤルティが高く安定した収益が見込め、かつユーザーの声を取り入れて商品開発ができるのでクロスセルが成功しやすいというメリットがあります。

反面、世界観の醸成のためにサイトデザインからパッケージ、配送時の外箱、広告用クリエイティブ、メールの文面に至るまでトーン&マナーを統一させる必要があり、立ち上げコスト、運用コストともに高くなりがちです。
また、商品の機能ではなく、世界観やバックストーリーへの共感で新規獲得するモデルのため、特に立ち上げ当初の集客は難易度が高くなります。

もともとは大資本へのカウンターとしての側面を持っていたD2Cですが、現在ではある程度の資金がないと立ち上げが難しくなっているといえるでしょう。資金調達と初期集客の課題をクリアするため、クラウドファンディングを利用するケースも多く見られます。

リピート通販のメリット・デメリット

メリット

  • ・マーケティング戦略が立てやすい
  • ・初期費用が比較的安価
  • ・顧客との関係構築ができる
  • ・売上予測が容易

デメリット

  • ・広告に強く依存する
  • ・キャッシュフローが悪い
  • ・不正注文リスク

リピート通販の最大のメリットはマーケティング施策の立案・実施のしやすさにあります。D2Cと比べるとトーン&マナーの規制は緩いので、クリエイティブ作成をページ単位、施策単位でスピーディに進めていくことができます。同じ理由で初期の立ち上げコストも比較的安価です。また、ユーザーとの関係性も比較的強く、中長期的なLTV改善施策の実施が可能で、売上予測も容易です。

しかし、商品の機能的な価値によって集客するという性質上、新規獲得は強く広告に依存し、かつ定期購入の長期継続によって広告費を回収するモデルのため、キャッシュフローは良くありません。また、流入経路によって定期購入の継続率が大きくばらつく傾向があり、広告・流入経路別で継続率を把握しておく必要があります。初回割引を行うことが多いモデルのため、転売目的の不正注文にも注意が必要です。

単品通販(非定期型)のメリット・デメリット

メリット

  • ・キャッシュフローが良い
  • ・マーケティング戦略が立てやすい
  • ・初期費用/運用コストともに安価

デメリット

  • ・改善ポイントが少ない
  • ・クロスセルの難易度が高い
  • ・売上予測が立てづらい

非定期型の単品通販はキャッシュフローの良さが大きな魅力です。まとめ買いによる初回購入での広告費回収を目指すので、D2Cやリピート通販のような広告費の先出しによる一時的な赤字が発生しづらいモデルです。マーケティング施策の立案・実施もしやすく、CSやCRMにかけなければならないコストも比較的安価です。

商品・広告・LPだけで勝負するシンプルなモデルのためこれらのメリットが生まれますが、ユーザーとの関係性は総じて薄く、消費サイクルが長い商品が多いため、まとめ買いの発生率が低ければほぼ確実に広告費が回収できないというデメリットを孕んでいます。また、売上高は広告の短期的トレンドに大きく左右され、中長期的な予測が困難です。

良くも悪くも初回購入で収益が決まるので、広告とLP(オファー含む)の改善PDCAをいかに早く数多く回せるかが攻略のポイントです。
まれな例ですが、ブランディングに成功するとクロスセルを発生させられるようになり、キャッシュフローの良さを維持したままリピート型やD2Cへの転換が図れることがあります。

まとめ

今回は通販の事業モデルのD2C、リピート通販、単品通販(非定期型)の違いについて解説しました。

どのモデルにも一長一短あるので、自社の商品特性や事業体制がどのモデルに向いているかを検討し、最適なモデルを選択しましょう。

この記事を書いた人
柾 大和株式会社PRECS チーフコンサルタント
柾 大和株式会社PRECS チーフコンサルタント

web広告代理店を経て、2012年より株式会社PRECSへ。
前職から美容・健康ジャンルに特化した広告提案を行っており、その知見を活かし事業の計画からオファー設計、集客戦略、ページデザイン、EFOなど、EC領域で必要なものを多岐にわたって企画・立案する。
特にEC事業のスタートアップに関わることが多く、「とにかくコンバージョン数を増やす」を座右の銘にECの立ち上げ支援を行っている。

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