ECシステムプラットフォームの種類と特徴について
ECサイト開設をご検討中の方は、主要なプラットフォームの特徴をおさえておくと便利です。プラットフォームによってその特徴に違いがあることから、自社にとって最適なサービスもおのずと違ってきます。
今回は、ECサイトを構築するためのプラットフォームを、種類や特徴ごとにご紹介。自社の規模、商品、予算などを慎重に検討したうえで、最適なプラットフォームでECを開設しましょう。
ECプラットフォームの種類による違いとは?
ECのプラットフォームは、その種類によって特徴が異なり、同じECサイトとは思えないほど見た目や機能も違います。さらにプラットフォームによって、必要な予算や開設の手間も千差万別です。
主要なECプラットフォームの特徴を大まかに掴んでおくだけでも、どれを使ってECを開設すればよいかの判断がしやすくなります。「競合が使っているから」「とにかく安いから」といった理由ではなく、自社の状況と照らし合わせながら考えてみましょう。
自社型かモール型かをまず最初に決める
初心者がECのプラットフォームを選ぶ際は、まず自社型ECかモール型ECかを決めることから始めましょう。
ECサイトと聞くとまっさきに、楽天やAmazonなどを思い浮かべるのではないでしょうか?これらは、1つのサイトに複数の店舗が出店する形式から、モール型(ショッピングモール型)と呼ばれています。主となるのはあくまでも楽天やAmazonで、事業者はそこにスペースを借りて出店する形態となります。
その分、集客力や知名度は圧倒的に高く、こうしたブランド力を生かしたサイト運営が可能となります。
一方、自社だけのオリジナルサイトを出店する仕組みが自社型です。こちらは自分達が主となってサービスを運営する仕組みで、ブランドや商品名を全面に押し出すことができます。自由度は高いものの、集客面や知名度の面ではゼロからスタートするため、いかにユーザーに認知してもらえるのかが鍵です。
主要プラットフォームの種類と特徴をご紹介
ここからは、主要なプラットフォームの種類と特徴について見ていきます。
形態 | 初期費用 | 年商規模 | カスタマイズ性 | 製作期間 | サーバー |
---|---|---|---|---|---|
モール型 | 0~数十万円 | 数百~数千万円 | ? | 短い | 不要 |
無料EC | 0~円 | 10~数百万円 | ? | 短い | 不要 |
ASP | 0~数十万円 | 1,000万円前後 | △ | 短い | 不要 |
パッケージ | 数十~数百万円 | 数千~1億円 | 〇 | 長い | 必要 |
オープンソース | 0~数百万円 | 1億円~ | 〇 | 長い | 必要 |
フルスクラッチ | 1,000万~円 | 1億~数百億円 | 〇 | 長い | 必要 |
プラットフォームは、大きく上記の6種類に分けることができます。各種類ごとに初期費用や年商規模、カスタマイズ性などを詳しく見ていきましょう。
1.モール型
形態 | 初期費用 | 年商規模 | カスタマイズ性 | 製作期間 | サーバー |
---|---|---|---|---|---|
モール型 | 0~数十万円 | 数百~数千万円 | ? | 短い | 不要 |
最も一般的なECプラットフォームが「モール型」です。
楽天、Amazon、ZOZOTOWNなどがモール型ECの代表格と知られており、皆さんにも馴染み深いサービスなのではないでしょうか。初期費用は0円~10万円程度で、年商は数十万~数千万と幅広いユーザーに対応しています。
モールにもいくつか種類がありますが、共通する特徴としては集客力が高いということ。楽天やAmazonは圧倒的な知名度を誇るため、自然と多くのユーザーがアクセスしてきます。これは始めてECに出店する初心者にとっては魅力的で、事業をスタートする上での追い風となってくれるでしょう。
一方で、モール内でも競争はあるため独自の集客対策が必要です。出店料や月額使用料などのコストがかかる点や、カスタマイズ性に乏しい点はデメリットと言えるでしょう。
2.無料型EC
形態 | 初期費用 | 年商規模 | カスタマイズ性 | 製作期間 | サーバー |
---|---|---|---|---|---|
無料EC | 0~円 | 10~数百万円 | ? | 短い | 不要 |
無料型EC(インスタントEC)は、無料でネットショップを構築できるサービスのことを言います。
その名の通り、サクッとお手軽にECが始められるプラットフォームで、インスタントECの代表であるBASEやStores.jpを使えば、無料かつ短時間でECビジネスに参入できます。初期費用を抑えることができる点もメリットで、年商規模は数百万円程度となるでしょう。
デメリットとしては、カスタマイズ性や機能性の面で制限があるということ。無料サービスのためこのあたりは致し方ないとはいえ、本格的にECビジネスに乗り出すにはやや物足りなさ感じてしまうでしょう。小規模や個人でECを運営するという事業者には、おすすめのサービスです。
3.ASP型
形態 | 初期費用 | 年商規模 | カスタマイズ性 | 製作期間 | サーバー |
---|---|---|---|---|---|
ASP | 0~数十万円 | 1,000万円前後 | △ | 短い | 不要 |
次にご紹介するプラットフォームがASP型(ショッピングカート型)です。
EC開設サービスを月額でレンタルする方法で、初期費用もお手軽でサポート体制が手厚いのが特徴です。年商1,000万円規模のビジネスにも対応できるなど、現在のECプラットフォームでもトレンド的なサービスとなっています。
予算や機能面、サポート体制を吟味すると、初心者の方に最もオススメなプラットフォームサービスと呼べるのではないでしょうか。
ASPの面白いところは、サービスごとに特化している分野がまったく異なることです。たとえばリピート通販に特化したサービスや、BtoB専門のサービス、越境ECに強いサービスなどがあります。自社の状況やビジネスの特性によって、ピンポイントで最適なASPを選択できます。
デメリットとしては、ややカスタマイズ性に乏しい点で、サービス会社側の機能に依存してしまう点は注意が必要です。
4.パッケージ型
形態 | 初期費用 | 年商規模 | カスタマイズ性 | 製作期間 | サーバー |
---|---|---|---|---|---|
パッケージ | 数十~数百万円 | 数千~1億円 | 〇 | 長い | 必要 |
パッケージ型とは、EC構築向けにパッケージングされたサービスを利用するプラットフォームです。
ASPではクラウド上のサービスを利用する形態が多いですが、パッケージ型では自社サーバーを使い自由度の高いサイト設計を行うことができます。カスタマイズ性も高く、サービス会社側が製作や運営についてサポートしてくれるのもメリットの1つ。年商数千万~1億規模のショップに最適でしょう。
デメリットとしては、やはりコスト面の負担が大きいということ。また、サイトの製作期間が長いため、オープンまである程度時間がかかる点も押さえておきましょう。
5.オープンソース
形態 | 初期費用 | 年商規模 | カスタマイズ性 | 製作期間 | サーバー |
---|---|---|---|---|---|
オープンソース | 0~数百万円 | 1億円~ | 〇 | 長い | 必要 |
EC開設コストとカスタマイズの自由度を備えたのがオープンソースです。
ECの基本性能を備えた無料のソースコードを、自社のサーバーにインストールして使用。年商1億円規模のサービス運営にも対応できる形態と言えます。
最低限の機能なら無料で使用でき、かつカスタマイズの幅が広いのが特徴です。オープンソースによって、多く言語対応や優れたマーケティング機能を実装できるなど、自由度の高いEC運営が行える点がメリットでしょう。
ただし独自性を打ち出そうとして、便利な機能を加えるとそれだけコストもかかってしまいます。また、専門的なスキルや自社サーバーが必要な点も事前に確認しておきたいポイントです。
6.フルスクラッチ
形態 | 初期費用 | 年商規模 | カスタマイズ性 | 製作期間 | サーバー |
---|---|---|---|---|---|
フルスクラッチ | 1,000万~円 | 1億~数百億円 | 〇 | 長い | 必要 |
フルスクラッチとは、自社もしくは委託先が一から作成したECプラットフォームです。独自ECとも呼ばれ、自社の個性を存分に押し出せる手法です。
サイト内の機能も自由にカスタマイズできます。ゼロからネットショップを製作できることから、イメージ通りのECをしっかり形にすることができます。
ただし、予算と時間が膨大にかかり、かつインハウスで要件定義のできる人材が必要なので、基本的に大手向きのプラットフォームと言えます。年商も1億~数百億規模と、大手ネットショップが導入するサービス形態と呼べるでしょう。
まとめ
ECのプラットフォーム選びは、ECビジネスを始める重要な一歩です。最適なプラットフォームを選択できれば、業務の効率化や売上アップにつながっていきます。
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