最近よく耳にするビジネスモデル「D2C」とは? - リピスト | EC/D2Cサイト構築システム

最近よく耳にするビジネスモデル「D2C」とは?

近年、ECビジネスの世界でよく耳にする「D2C」という言葉。

これはDirect to Consumer(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の略称で、メーカーがECを軸として、自社完結型のビジネスを展開する販売モデルのことをいいます。

年々D2Cブランドの数は増加傾向にあり、「2020年代のECビジネスの定番はD2Cになる」という声も聞こえるなど、今まさに業界を席巻しているトレンドといえます。

そこで今回は、注目のビジネスモデルD2Cとは何か、特徴や最新の動向を踏まえて解説します。また、国内の人気D2Cブランドの事例も合わせてご紹介します。

D2Cとは仲介業者や店舗を介さないビジネスモデルのこと

D2Cとは「Direct to Consumer(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)」の略で、メーカーがECサイトを通して、自社商品を直接販売するビジネスモデルのことを言います。

最大の特徴は、ブランドの企画から製造、販売、マーケティングにいたるまでのすべての工程を自社で完結するということ。従来までのビジネスでは仲介業者や販売店の存在が不可欠でしたが、ECというプラットフォームやデジタル技術が普及したことで、自社ですべてを担う体制が構築できるようになりました。

まさに、消費者(コンシューマー)に直接(ダイレクト)アプローチできるビジネスモデルと呼べ、近年のECビジネスではトレンド的な存在となっています。

従来までのBtoCモデルとの違いはビジネスを「自社完結」できること

従来までのBtoCモデルとの違いとして、ビジネスを「自社完結」できることが挙げられるでしょう。これまで、企業が一般の消費者に商品を販売するには、BtoC(ビジネス・トゥ・コンシューマー)モデルが採用されてきました。

BtoCは、メーカーが商品を開発後→卸売業者→小売業者というクッションを挟んで消費者に販売する形態ですが、流通にかかるコストの増加や、利益率が低くなるなどの課題を抱えていました。

そこで注目を集めたのが、メーカーがダイレクトに商品を販売するD2Cモデルです。流通を介さずにメーカーが直接ユーザーに販売することができれば、コストを抑制でき利益率を高めることができます。

また、仲介業者や広告代理店の特色や戦略に左右されないため、ブランドのカラーや世界観を直接ユーザーに届けることができます。EC市場の急速な拡大や、SNSを使った効果的なマーケティングも可能となった現代では、もっとも効率的に商品を販売できるスタイルという訳です。

「世界観を売る」というスタイルもD2Cの特徴

また、従来までのビジネスモデルと大きく違う点として、「世界観を売る」というスタイルが挙げられます。

世界観とは、商品やサービスの背景にあるビジョンやコンセプト、ストーリーのことです。D2CではSNSやデジタルツールを活用してユーザーに直接アプローチすることができます。

その際に重視するのが、自社の世界観を丁寧に訴求するということ。例えば、

  • 製造工程を隅から隅までオープンにする
  • 環境や社会課題の解決に取り組む
  • ブランドが誕生したストーリーを発信する

 

といった例が挙げられます。

こうしたポイントをコンテンツ化し、消費者へ発信。世界観に共感した消費者がブランドや商品のファンになってくれることで、購入を促す仕組みです。

年々消費行動は機能や価格を重視するスタイルから、物語や体験を重視するスタイルへと変化してきました。とくに若年層は「コト消費」や「トキ消費」に代表される価値観の変化が顕著で、企業もマーケティング戦略の見直しを迫られていました。

D2Cがいまビジネスモデルとして脚光を浴びているのは、合理的な事業モデルだけでなく、こうした消費行動の変化と相性が良かったため。「世界観」という付加価値に惹かれたユーザーは、長くブランドのファンとなってくれることから、中長期的な関係性を構築できる点も強みです。

国内のD2Cモデルの今後の動向

さて、ここまでD2Cモデルの概要や特徴についてご紹介してきました。ここからはD2Cモデルについて、今後の動向を考察してみましょう。

D2Cの市場規模は拡大すると予想

経済産業省が発表している、「令和2年度の電子商取引に関する市場調査」では、今後D2Cの市場規模は拡大するとの見解を示しています。

日本国内のD2Cに関する市場規模調査はまだ出揃っていない状態ですが、D2C先進国のアメリカの例を見ても、D2Cモデルが大きな可能性を秘めていることが分かります。

企業 商材 サービス内容
allbirds 「世界一履き心地のいい靴」をキャッチフレーズにしたスニーカーブランド
Away スーツケース 機能・デザイン性に優れたスーツケースを販売
Casper 寝具 高品質マットレスを販売。2020年にD2C企業初の上場を果たす
Everlane アパレル 「徹底的透明性」をテーマに若い世代に人気のアパレルブランド
Glossier 化粧品 スキンケアを重視した化粧品の販売
hims シャンプー 男性向けAGA治療薬などをサブスクで提供
lenskart メガネ インド発のアイウェアブランド。3D試着など最先端技術で顧客を獲得
WarbyPaker メガネ D2Cによる低価格化とスマホ視力測定などを用いたアイウェアブランド

上記の表は、アメリカのD2Cブランドの中で、ユニコーン企業(創業から10年以内、企業評価額が10億ドル以上で未上場のベンチャー)へと成長したブランドを一覧にしたものです。

アメリカではすでに8社ものD2Cユニコーンが誕生しており、そのうち2社のWarbyPakerとallbirdsは上場申請を行いました。

日本国内でも多くのD2Cブランドが急成長を続けており、積極的な資金調達にのりだす動きが増えています。また、D2Cを支えるBtoB向けのサービスが続々と登場している点も、市場の成長を窺うことができる動きです。

D2C拡大の背景にあるのはDX化の加速とプラットフォームからの脱却

D2C市場拡大が予測される背景にあるのが、DX化の加速とプラットフォームからの脱却です。

これまで世界的に加速していたDXの動きですが、日本はデジタル先進国に比べて遅れをとっていました。しかしコロナ禍の影響を受けて、日本も本格的なデジタル社会へとシフトしています。D2Cはデジタル技術の発展が、ビジネスモデルの拡大を後押ししてきました。日本で今後DXが加速すれば、D2Cはその恩恵を受けてさらなら成長を見せるでしょう。

また、大手ECモールをはじめとしたプラットフォームからの脱却を目指す動きも、D2C拡大の背景にあります。

例えば、EC界の覇者Amazonのアメリカシェアは、市場の約50%にも及んでいます。当初はAmazonを土台として事業を拡大してきたブランドも、手数料の増大や過度なAmazon依存の状況に危機感を抱き始めていました。

この状況に対抗し、業界で生き残る上での一手となるのが、D2Cモデルです。プラットフォームに依存せず、自社でビジネスを完結することで利益率がアップ。また、これまでプラットフォーム側に奪われる格好となっていた顧客データを自社で独占できる点も、この動きを加速させています。

今後日本国内でも本場アメリカのように、Amazonによる市場独占(楽天などを含めた数社での独占も)は十分予想されるでしょう。また、数年前から顕在化し始めた流通業界の人手不足も、待ったなしの状態です。こうした現状への対抗措置として、国内でもD2Cモデルの拡大が広がっており、すでに多くの先行事例が生まれています。

国内のD2Cモデル導入事例をご紹介

ここからは、国内でD2Cモデルを導入した企業の事例を見ていくことにしましょう。

1.BULK HOMME(バルクオム)

BULK HOMME

国内でのD2Cモデルの事例としてまっ先に取り上げられるのが、男性化粧品を取り扱うECサイト「BULK HOMME(バルクオム)」です。

バルクオムは、自社で製造から販売までを一貫して行うD2Cモデルを採用し、収益化が難しいとされる男性化粧品市場で成功を収めています。単品での販売も行っていますが、基本的にはサブスクリプションモデル(定期購入)を中心に販売。

統一感のあるパッケージデザインが特徴で、ユーザーがインスタグラムなどのSNSを使って自発的に拡散する好循環が生まれています。D2Cモデルを採用していることから、自社でのプロモーションをスピード感を持って取り組むことができている点も、成功のポイントと言えます。

より効率的なアプローチに次々と打って出る積極的な姿勢が、見事成功に繋がった事例と言えるでしょう。

2.COHINA(コヒナ)

COHINA

150cm前後の小柄な女性をターゲットにした、女性向けアパレルブランドを展開するのが「COHINA(コヒナ)」です。

自分の身長に合ったサイズが見つからず、おしゃれを我慢しているという女性は少なくありません。コヒナは、こうした小柄な女性だけをターゲットにしたアパレル商品を開発。これまでおしゃれを諦めてきた女性から絶大な支持を集めました。

SNSでは自社ブランドを使用したファッションコーデを積極的に発信。ユーザーと積極的にコミュニケーションを図ることで、ブランドの成長に繋げました。

3.PHOEBE BEAUTY UP(フィービービューティーアップ)

PHOEBE BEAUTY UP

女性向けのコスメブランドとして若年層を中心に絶大な支持を集める「PHOEBE BEAUTY UP(フィービービューティーアップ)」。

同社では、ブランドリリース前からファッションメディア「DINETTE(ディネット)」を運営しており、フィービービューティーアップの商品はこのメディアのユーザーの声から生まれました。

すでに多くのファンを獲得している点はもちろん、商品開発やブランド展開に関するストーリーをファンと共有することが可能。こうした「自分達が参加した」という体験が、ブランドへのさらない愛着を育んでいます。

4.FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)

FABRIC TOKYO

FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ)」はオーダーメイドスーツを販売するD2Cブランドです。

オーダーメイドスーツと聞くと、敷居が高く値段も高いというイメージが一般的でした。同社ではこうしたイメージを一新し、より身近な存在として親しんでもらおうとブランドを起ち上げました。

店舗での採寸だけでなく、デジタルテクノロジーを活かしたオンライン採寸が可能。一度採寸すれば、次回からはネットで手軽に購入できることからスーツ離れが進んでいた若者がこぞってブランドを購入しました。

D2Cモデル採用してことで、価格を安く抑えられた点も成功の要因です。

5.snaq.me(スナックミー)

snaq.me

snaq.me(スナックミー)」は、サブスクモデルを採用したおやつD2Cブランドです。

ユーザーはサイト上で簡単な「おやつ診断」を入力。この内容を元に100種類以上のおやつの中から自分だけの組み合わせで構成されたおやつBOXが自宅まで届けられます。

商品の中身は、届くまでのお楽しみ。毎回何が届くのワクワクする体験や、アンケートによるフィードバックでより好みが最適化されるといった面も人気を集めています。

いわゆるパーソナライズ化のトレンドとD2Cモデルを上手く組み合わせた事例といえるでしょう。

6.FUJIMI(フジミ)

FUJIMI

パーソナライズビューティケアをテーマに、美容向けのカスタマイズサプリを提供している「FUJIMI(フジミ)」。

商品購入前に数分で完了する美容診断を行うと、その結果を元に個人の肌の状態にカスタマイズされた美容サプリメントが処方。年齢や季節、肌体質など細かな条件を反映しながら、パーソナライズ化された美容サプリが届られます。

洗練された美しいブランドデザインはもちろん、専門家が携わった高品質なサプリへの評価も高く、多くのユーザーから支持を集めています。

7.MEDULLA(メデュラ)

MEDULLA

最後にご紹介するのが、オーダーメイドのシャンプーとリンスを販売する「MEDULLA(メデュラ)」です。

髪の毛に関する悩みを抱えている人は少なくありません。髪質の特徴から既製品が合わず、さまざまな商品を試してみるも、なかなか自分に合った商品に出会えない「シャンプー難民」も多くいます。

メデュラはオンラインの髪質診断を用いることで、一人一人の髪質に合ったオーダーメイドシャンプーを開発。ユーザーは自分の髪質はもちろん、その時々の体調や天候など条件を満たした最適な商品を購入することができます。

オーダーメイドは本来コストが高く、商品化は敬遠されがちですが、D2Cモデルという強みを活かすことで製造コストや流通コストを抑え、商品開発に注力することが可能となりました。

まとめ

今回は、EC業界でよく耳にする「D2C」モデルについてご紹介しました。

D2Cモデルとは、メーカーが商品の開発から販売までを一手に担う「メーカー直販」のビジネスモデルのこと。従来までの流通システムを介することなく商品をダイレクトに販売できるため、コストの抑制や利益率の向上を見込むことができます。

ECビジネスの急速な普及や、SNS等を通じて多様なマーケティングが可能となった現代では、もっとも効率的な販売手法の1つと呼ぶことができるでしょう。

自社ですべての工程を担うことで、マーケティング戦略に独自色を出せるのも、このモデルのメリットです。「世界観を売る」アプローチはD2Cの大きな特徴で、体験型の消費行動を好むユーザーとの相性にも優れています。