食品業界の市場規模の動向
ネット環境の普及やライフスタイルの変化から年々拡大を続けるEC市場。
今後もさらに成長が見込まれることから、ECに関わる方なら市場の動向はしっかりチェックしておきたいですよね。
今回取り上げるのは「食品業界」。
食品ECの市場規模の動向はどうなっているのか、統計データなども参考にしながら探っていくことにしましょう。
年々拡大を続けるEC市場
ニューヨークに本社を置く市場調査会社「eMarketer」の推計によれば、2016年現在世界のEC業界の市場規模は1兆9200億ドル(日本円で約210兆円)にのぼるとされています。
これは前年比で24%の増加。
2020年にはさらに成長を続け4兆ドル(約440兆円)を超えると見込まれており、EC業界の攻勢を伺うことができます。
ネット環境の普及とライフスタイルの変化が影響
拡大を続ける理由として、ネット環境の普及が真っ先に考えられるでしょう。
とくにスマートフォンの普及により時間や場所を選ばず、「いつでもどこでも」ECショッピングを楽しむことができるようになった点は大きなポイントです。
またライフスタイルの変化から、店舗で商品を購入する手間を惜しむ傾向も増えています。こうしたユーザーにとって自宅まで商品が直接届くECショッピングは、非常に魅力的なサービスと言えます。
食品業界ECの市場規模
ここからは食品業界ECの市場規模の動向について見ていきましょう。
2017年度の国内食品ECの市場規模は約3兆6,000億円。この数字は2021年には4兆円を超えると予想されており、国内での食品業界ECは成長傾向にあると言えます(矢野経済研究所調べ)。
極端に低いEC化率
一方でさらなる成長を目指す上での懸念材料として挙がるのがEC化率です。
食品業界では、市場規模の大きさに反してEC化率が低い傾向にあります。
データを見てみると、通販での購入率が高い「事務用品・文具」「家電」「書籍、映像・音楽ソフト」といった商品カテゴリーでは、EC化率が20%を超えています。
これに比べ食品業界のEC化率はわずか2%。他のカテゴリーと比較すると、非常に低い値です。(※1)
実店舗志向が強い食品業界
また、食品業界の動向として実店舗での購入意向が強い点も、EC市場の成長を考える上で無視できないポイントでしょう。
「オンラインと実店舗のどちらで商品を購入したいか」というデータを見てみると、食品業界では商品を購入する際に「実店舗を利用したい」と答えた割合が70%を超えています。
この数字はアンケートを取った11の商品カテゴリーの中でもっとも高く、他のカテゴリーが50%前後を推移していることから見ても、顕著な実店舗志向が見て取れます
もっとも低い書籍、映像・音楽ソフトでは実店舗を選ぶ割合が30%にも満たないことからも、食品業界の値がいかに突出しているのかが分かるでしょう。(※2)
実店舗を選ぶ理由は「新鮮さ」
ではなぜ食品業界では、実店舗での購入が多いのでしょうか?
もっとも大きな理由として、鮮度の問題が挙げられます。
消費者はより新鮮で美味しい商品を求めています。その点通販を使って食品を購入するとなると、配送時間のロスが生まれるためどうしても鮮度の面で見劣りしてしまいます。
また食品は消費スパンが早い点も理由の1つでしょう。「今夜の夕飯に」「明日のお弁当のおかずに」といった『今すぐに欲しい』というニーズに対応できない点も、食品業界で実店舗が好まれる理由の1つです。
今後の食品業界ECへのヒント
食品業界では商品の鮮度や消費スパンの早さから、実店舗が好まれる傾向が分かりました。
それでは、今後の食品業界でもECの普及は難しいのでしょうか?
現在、食品業界のECでは大きく2つのパターンが見られます。
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・実店舗を持つ小売店がECに参入
・ネット企業が新規に参入
それぞれの特徴をより生かした戦略を取ることが、今後の食品業界ECへのヒントとなります。
ユーザーに寄り添う多様性
実店舗を持つ小売店の代表例がセブンイレブンです。
セブンイレブンのサービスの特徴は多様性。
一般的なネット通販のような商品を購入して自宅に届ける、といったサービスだけでなく店舗で受けとれるというサービスも採用しています。これは実店舗を持つ小売店ならではの戦略でしょう。
また、足腰の不自由な高齢者などをターゲットに、店舗から配送サービスも展開するなど、ユーザーのライフスタイルやニーズに合わせてさまざまな選択肢を用意しています。
この多様性は実店舗を持つ小売店がEC市場で価値を高める1つのヒントと言えるでしょう。
特化型の戦略で売上に繋げる
ネット通販の最大手Amazon。
このAmazonが提供するサービスとして注目を集めたのが「Amazon ダッシュ」です。
ボタンを押すだけで自宅に商品が届くというこのサービスは、利便性の高さから大きな話題となりました。
このAmazonダッシュが扱っている商品で多いのが飲料水。
飲料水は量がかさばるうえ、荷物の重量もあることから通販向けの商品と言えます。こうした通販向けの商品と、目新しく便利なサービスをミックスした点がAmazonダッシュのポイントと言えます。
このように、実店舗を持たないネット企業が食品業界で成長を目指すには、「EC向けの商品へ特化すること」、「ECらしさを生かしたサービス(機能)を用意すること」などがヒントとなりそうです。
まとめ
今回は食品業界のEC市場規模について、その動向を見ていきました。
食品業界はその市場規模は大きいものの、まだまだEC化率は低い水準にあります。しかし、記事の中でもご紹介したように、多様性を追求することや特化型の戦略を用いることは状況を打開するヒントとなります。
価値あるサービスを提供できるよう、ユーザーのニーズをもう一度洗い直してみるのも1つのアイデアです。
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