EC業界とは?市場動向/最新トレンド/流通額など
ECとはElectronic Commerceの略で、ネット通販やネットショップといった電子商取引のことを指します。近年はこれに関連するEC業界がビジネストレンドに1つなっており、事業者はもちろん一般ユーザーからも大きな注目を集めています。
そこで今回は、EC業界とは何か?というテーマで市場動向や流通額、最新のトレンドについてご紹介。EC業界の「いま」を知りたい方にとって参考になる内容となっているので、ぜひチェックしてみてください。
EC業界とは?
ECとはElectronic Commerceの略で、日本語では電子商取引と訳されます。ネット通販やネットショップなどはECの代表例で、「ECサイト」や「Eコマース」といった名称が一般的です。
こうしたECに関連するビジネス全般はEC業界と呼ばれています。近年はネットショッピングの人気から業界全体に勢いがあり、ビジネストレンドの1つとして大きな注目を集めています。
EC業界の市場規模は?
経済産業省による調査によると、2019年のBtoC向けのEC市場規模は約19.4兆円。またBtoB向けの市場規模は約353兆円となっています。これはBtoCが前年比の7.65%増、BtoB向けは前年比2.5%増といずれも高水準の成長を見せています。
上記は過去のEC業界の市場規模をグラフにしたものですが、これを見ても毎年右肩上がりで成長を続けていることが伺えます。市場規模の大きさもさることながら、今後のさらなる成長が期待できるという点もEC業界が注目集める要因の1つでしょう。
EC化率の推移にも注目
上記のグラフでもう一点注目してもらいたいのが、「EC化率」という項目です。EC化率とは、電子商取引を用いて商品やサービスの売買を行っている割合のことを言います。BtoC市場では6.76%、BtoB市場では31.7%という数字が出ています。
とくにBtoC市場の6%台という数字は、アメリカや中国といったEC先進国が10%以上のEC化率となっていることからすると、低い値です。言い換えれば、それだけ日本国内のEC市場には伸びしろが残っているということ。これは今後EC業界への参入を目指す事業者にとっては心強い情報ではないでしょうか。
EC業界にはどのようなサービスがあるのか?
EC業界には、実にさまざまなサービスがあります。ここでは、具体的にどのようなサービスがあるのかご紹介していきます。
1.ECサイト構築サービス
サイトを作るためのサービスが、ECサイト構築サービスです。サイトのデザインや機能の追加・開発などを行うことができ、自社オリジナルのサイトを作ることができます。
ひな型となるサービスが用意されているパッケージ型や、クラウド上でサービスを利用できるASP型。ゼロからサイトを構築するフルスクラッチ型やオープンソース型など、事業規模や目的、予算にあわせてサービスを選択することができます。
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2.集客支援・マーケティングサービス
ECサイトへの集客や販促活動を提供するのが、集客支援・マーケティングサービスです。Web広告の運用やSNSの運用、サイト内に顧客分析などを提供しています。構築サービスを提供する企業が社内サービスとして運用しているケースも多いですが、集客やマーケティングだけを専門に取り組みながら、サイト運営をサポートする企業も少なくありません。
3.各種ツールサービス
ECサイトの機能を拡充するために用いられるのが、各種ツールサービスです。接客ツールやアプリ開発、分析ツールや決済機能など、ユーザーにとって利便性が高いサイトに仕上げるためにさまざまなサービスが提供されています。
ECサイト構築後に、自分たちが欲しい機能をツールサービスを通して追加していくのが一般的で、構築サービスとの相性や予算などを加味しながら選んでいきます。
4.コンテンツ・デザイン作成
サイト内のコンテンツや、広告バナー等を専門に作成する業務も、ECには欠かせないサービスです。
デザイン分野ではバナー作成やアイコン作成、サイトのリニューアル時の各種デザイン調整などが主な業務となります。また、投稿する記事コンテンツを製作するライティング分野では、メディア記事の作成やキャッチコピーなどが主な業務となります。この他にも、商品の撮影を行う分野や、動画製作といった分野もここに含まれます。
大手ECサイトの流通総額は?
では、大手ECサイトの流通総額はどれくらいなのでしょうか?ここでは、モール型とサイト型に分けて、流通総額上位の数字を見ていきましょう。
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国内モール1位は楽天
大手ECモールの国内流通総額は1位は楽天で約3兆8,595億円。次いでAmazonジャパン1兆7,443億円で2位にランクインしています。国内モールでは楽天とAmazonが2強を形成しており、今後も両社の激しい争いが予想されます。
これを追いかけるのがYahoo!ショッピングで8,519億円。これまでモール型では3番手甘んじてきましたが、2019年後半に大手ファッションECのZOZOの買収を発表。またLINEとの経営統合を進めるなど、EC分野へ積極的に投資を行っています。次回の発表では、流通総額が1兆円を超えると予想されるなど、2強の国内モール市場に変化の兆しが見えてきました。
国内ECサイトの1位はヨドバシカメラ
国内ECサイトの流通総額1位は、家電通販で着実に成長を続けているヨドバシカメラで1,385億円。独自色の強いアプローチで他社との差別化を図り、顧客の囲い込みに成功しています。
これを追うのファッションECのZOZOで1,255億円。ヤフーとの連結子会社化を皮切りにPayPayモールへの出店で新規顧客の獲得に成功するなど、まだまだ勢いは止まりません。
3位はビックカメラで1,081億円、4位はユニクロで832億円と家電ECとファッションECが国内では存在感を強めていることが分かります。5位にはデルが630億円でランクイン。継続して力を入れていたEC事業がしっかり成果を上げてきたといえるでしょう。
気になるニュースはこれ!EC業界の最新トレンド
では、EC業界における最新トレンドにはどのような項目が挙げられるのでしょうか?事業者なら押さえておきたい気になるニュースを見ていきましょう。
1.コロナ禍でEC利用が爆発的に増加
2020年初頭から世界的な感染拡大が続く新型コロナウイルス。外出自粛やリモートワーク・おうち時間の増加を受けて、ECサイトを利用する頻度が一気に高まりました。
例えば、大手ECモール楽天は緊急事態宣言の期間の売上が、前年同期比で48.1%増加。アパレル大手「ユニクロ」は2020年3-5月期のEC売上高が前年同期比47.7%増と、空前のECバブルが訪れています。
一方で、これまでECへ参入していなかったブランドやサービスが新規参入を進めることで業界全体にの競争が過熱化。また、旅行サービスECのように大幅に売上が減少したサービスも見られるなど、コロナ禍の影響はEC業界を全体を包み込んでいます。
今後は、コロナ禍で獲得した新規顧客を継続して確保できるかや、競争が激しさを増した中で如何にして他社と差別化を図るかなどが注目されます。また、売上を大きく落としたサービスでは、従来までの手法を大転換する必要に迫られるなど、今後もコロナ禍の影響が続きそうです。
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2.DtoCモデルが注目を集める
1つ目はDtoC(D2C)モデルが注目を集めているということ。DtoCとはDirect to Consumer(ダイレクト・トゥ・コンシューマー)の略で商品を開発するメーカーが、ECサイトから直接商品を販売する方法です。
従来までは大手モールやECサイトを使って商品を販売していますたが、これでは手数料や仲介料によって利益率が下がってしまいます。また、マーケティング戦略を考える上でも、サイト側の意向が大きく反映されるため独自色の強い施策や柔軟なキャンペーン戦略が難しくなっていました。
そこで、自社のECサイトを使って商品をダイレクトに販売すれば、コスト面はもちろんマーケティング面でも大きなメリットを得ることができます。
3.ストーリー性のあるブランド展開に注目
近年の消費トレンドとして「持続可能性」や「コト消費」「トキ消費と」いった言葉が挙げられます。こうした消費者の購買傾向にあわせて、EC業界でも自社のビジョンやコンセプトを明確にし、ストーリー性のあるブランド展開に取り組む流れが加速しています。
D2Cでは「世界観」がビジネスモデルの重要なファクターですが、EC業界全般でもSNSやオウンドメディアを利用して自社のストーリーを積極的に発信しながら、ユーザーとの関係性を強める動きが増えています。
4.パーソナライズ化がブームに
パーソナライズ化は、近年のEC業界でブームとなっているトレンドの1つです。ユーザーの興味や関心、属性に最適化した商品を提供する手法で、AIや詳細な顧客分析を利用するこで、個人に最適な商品やサービスを届けることができます。
一時代前にはマスマーケティングで不特定多数のユーザーにアプローチして売上を高める手法が定番でした。しかし年々消費行動は細分化され「みんなと同じもの」ではなく「自分が欲しいもの・似合うもの」を選ぶ傾向が強まっています。こうした流れの中でパーソナライズ化がトレンドに挙がるのは自然な流れで、今後もデジタル技術の進化を追い風に広がりを見せていきそうです。
5.流通コストの増加
ECビジネスが拡大を続ける中、課題となっているのが流通改革です。とくにコロナ禍によりECニーズが爆発的に伸びた時期は、流通大手各社から悲鳴の声が聞かれました。
流通業界はキャパオーバーの状態が続いており、人件費の高騰などから配送料の値上げも続いています。これはEC業界にとっては喫緊の課題で、流通改革に繋がるアイデアが求められています。
具体的には、不在時でも商品を受け取れる宅配ボックス(置き配)の普及や、個人事業主による配送といったアイデアがすでに実用化されています。Amazonや楽天といった大手EC企業では自社物流の強化を目指すなど、流通改革の動向も今後継続してチェックしておきたいニュースの1つです。
まとめ
今回は、EC業界とは?というテーマで、業界の動向や最新のトレンド情報などをまとめてご紹介しました。
EC業界は他の業界に比べてスピード感が早く、トレンドが大きく変動することも少なくありません。継続的に情報を入手し、日々自分たちの知識をアップデートする作業が欠かせません。最新の情報を手に入れつつ、サイト運営に活かすことで売上アップを目指していきましょう。