リピート率とリピーター率の違い
ECサイトでは顧客分析のためにさまざまなデータを集めて計測を行いますが、指標の中で頻繁に取り上げられるのが「リピート率」と「リピーター率」です。
一見同じ指標と勘違いしてしまいそうですが、2つの指標はまったく意味合いが違うものです。
そこで今回は、リピート率とリピーター率それぞれの意味や計算方法、両者の違いについて解説します。
リピート率とは?
リピート率とは、
これまで一度でも商品を購入した全顧客のうち、どのくらいの人がリピート購入してくれたのか
を示した割合です。継続してサイトを利用してくれている人の割合を求めるための指標で、ECサイトでは重要な指標として用いられています。
ECサイトでは新規顧客の獲得だけでは、安定して売上を増やすことができません。新規顧客は獲得の難易度が高い上、広告コストも高くなることから利益率が低くなってしまいます。その点リピート顧客は、すでに商品やブランドの存在を認知してもらっている分獲得のハードルが下がり、広告コストを抑えることができます。結果として利益率がアップすることで、安定したサイト運営に繋げるとういう訳です。
どんなビジネスでも「常連」の存在は大切だと言われるのはこのためで、リピート率を算出して常時計測しておくことで、安定したサイト運営を目指すことができます。
リピート率の計算式
リピート率の計算式は、次の通りです。
当月のリピート率 = 当月のリピート客数 ÷ 累計の新規顧客数 × 100
重要なのが、分母を累計の「新規」顧客数とすることです。毎月の顧客数を単純に足し算してしまうと、再来店した顧客まで含まれてしまいます。あくまでも「新規」で来店した顧客数の累計を分母にしてください。
例えば、サイトオープン以降の累計新規顧客数が10,000人としましょう。当月のリピート顧客数が800人の場合、その月のリピート率は、
800 ÷ 10000 ×100 = 8%
という計算式で8%となります。
リピーター率とは?
次にリピーター率について見ていきましょう。
リピーター率とは、
当月(特定の期間)に商品を購入した全顧客数の内に、どれだけリピーターがいるかを表す指標
です。例えば、今月商品を購入してくれた顧客にどれだけリピーターがいるのかを計測する際はリピーター率を用います。1か月に限らず、年間や四半期など特定の期間で区切ってリピーターの動向を計測することができます。
リピーター率の計算式
リピーター率は、次のような計算式で求めます。
当月のリピーター率 = 当月のリピーター数 ÷ 当月の総顧客数 × 100
上記は1ヵ月の数値ですが、期間を当月→年間とすることで特定の期間のリピーター率を算出できます。
例えば、今月の総顧客数が500人、そのうち300人がリピーターだった場合、
200 ÷ 500 × 100 = 40%
となりリピーター率は40%となります。
リピート率とリピーター率は違う指標
さて、リピート率とリピーター率の意味について解説しましたが、この2つの指標を混同してしまっているケースは少なくありません。リピート率とリピーター率はまったく意味合いが違う指標で、勘違いしたまま用いてしまうと経営判断を誤ってしまいます。
リピート率は顧客の「再購入の割合」を算出するものですが、リピーター率はあくまでも「期間中の新規顧客とリピーター顧客の割合」を計算するものでしかありません。
例えば、毎月のリピーター率が80%を超えていたとしましょう。一見リピーターが多く喜ばしい状況に思えますが、この数字は「今月は新規顧客が20%、リピーターが80%」という意味となります。つまり、新規顧客の獲得が上手くいっていない状況と捉えることができます。なぜなら分母は「毎月」という期間であり、リピート率のように全期間の累計を分母としていないためです。
しかし、リピーター率をリピート率の意味合いを混同してしまうと「よし!今月もリピーター率が上昇した」と新規顧客の獲得という課題を見過ごす結果となってしまいます。
リピート率とリピーター率では前者を重視するのがEC運営では一般的です。2つの指標の意味合いや計算式を勘違いして、重要な改善ポイントを見過ごすことがないよう注意しましょう。
まとめ
リピーター率とリピーター率は、それぞれ次のような意味合いがあります。
- リピート率:これまで一度でも商品を購入した全顧客のうち、どのくらいの人がリピート購入してくれたのか表す指標
- リピーター率:当月(特定の期間)に商品を購入した全顧客数の内に、どれだけリピーターがいるかを表す指標
似たような言葉から同じ指標として勘違いされがちですが、リピート率はサイトでの「リピート購入の割合」を表すのに対して、リピーター率は「期間中の新規顧客とリピーター顧客の割合」を表しています。
ECサイトで重視すべてきは前者のリピート率です。両者の違いや計算式を混同して、誤った戦略や分析を行わないよう注意しましょう。